16話 ビルドと明日と創る機体

 宮廷でパーティーゲームたいかいを終え、某留置所へ戻ってきたハルト

 しかし、ハルトにはまだやることがあった

「もうそろそろ忍ばず暴れるか……」

 そう。機体格納庫への侵入である

 ほぼ脳がロボットでできている彼は、最初、イクストライトに乗った時、「魔改造したい……」と思ったのだ

 そして、彼の思考回路は、やってやるというものに、つい最近至った!!!

 それが、今現在、なぜ侵入しようとしているかの理由である

「どう魔改造するかなぁ…。オーソドックスに合体でもいいな……」

 考えれば考えるほどユメガヒロガリング

 ちなみに、時刻はすでに6時(午前)をまわっており、深夜では無い

 要するに、彼は白昼堂々と侵入を試みるわけだ


 そんなこんなで、格納庫へ着いた

 格納庫にはずらりと様々な形をしたロボットが並んでおり、その中には支援メカと思わしき戦闘機なども存在した

 メカ脳で生きてる人間にとってはそれだけで至るも同然の光景である

 またもやちなみとなるが、格納庫には機体を作るブースというのも存在している

 もちろん、ハルトはそれ狙いである


 少し歩くと直ぐに、ここに並ぶどの機体よりもボロボロになった崩壊寸前の機体、イクストライトは見つかった

「さてと、まずは外装だな」

 ハルトはそうつぶやき、イクストライトへ近づいていく

 ボロボロに剥がれ落ちた外装

 不思議と内部フレームは見えていない

「とりあえず、上から重ねるか」

 そうつぶやき、イクストライトを触ろうとした瞬間

「違うぞ。間違っている」

 後ろからそんな声がした

「何奴!?」

 ハルトがびっくりして後ろを振り返ると、そこには、先程までゲームをしていた国王である、キギアがいた

 あと知らない男もいる

 とりあえずハルトは

「誰よその男!」

 と言っておいた

「何をしてるかは知らないけど、立派な犯罪行為だぜ?ハルトくん。まあ、咎めるつもりは無いけどね」

「そ、そう」

「会った時に手助けはしようとは考えたんだけど、まさかここまでするとはね……。恐れ入ったよ」

「ま、まさか!」

  何も分かってない状態で話を進めるキギア

 何もわかってないのに便乗するハルト

 その場はまさに地獄絵図

「すいません国王。私に説明がまだなのですが」

 この状況は耐えられんとばかりに、後ろに控えていた青髪長身、美形の男が言葉を発する

「あ、いたの?」

「あなたは僕をなんのために呼んだのですか?」

「すんません冗談です許してください」

 手のひらを返し謝罪する国王

 もはや国王であることすら怪しくなってくる始末だ

「まあ、冗談はこれくらいにして。どうせ格納庫に侵入しそうとは思っていたよ。その機体、どうするつもり?」

「魔改造?」

 Q.どうするつもり?

 A.魔改造?

 質問を質問で返す返答 

「なぜ疑問形なんだ……。まあいいや、そうだろうと思って彼を連れてきたからね。紹介しよう彼はルイス。腕のたつ技術者だ」

「どうも。ルイス・レイタイ。この国で技術者をやっています。そして僕もこの自称国王にわけもわからず連れてこられた被害者です」

「よ、よろしく」

 ルイスはそう言った

「しかし、なぜまた機体を魔改造しようなどと?」

「男には…ロマンってもんがあるんだよ…」

 ハルトは天井を見やり、物思いにふけったような顔してそう言った

 ちなみに天井のシミの数は16個だった

「…なるほど。わからないでもないですね。しかしあなたはARについてそれほどわかってないように思えます。なので僕が手助けをしましょう」

 まさかまさかでロマンに同意をするルイス。ロマンがわかる男ということだろう

 とはいえ、時刻は既に零時を回っている

 これ以上遅くなるのもあれだろうということで

「まあ、2人とも、今日は遅いし明日にしない?」

「「嫌です」」

 2人を気遣っての提案だったが、その気遣うべき2人に拒否された

 

 厚いコンクリートのような合金で囲まれた格納庫には、音がない

 そのため、響くのは人の声と機械の音だけ

 しかし、今は機械オタクとロボオタクという似てるようで本質の違う2人によって、風という音が追加されようとしていた

 「まず、ARの基本構造はフレーム、内部装甲、魔法行使装甲、外部装甲の4つの構成で出来ていて……」

 ルイスの早口の説明が始まる

 ではここで、ARの基本構造についてを記しておこう

 まず、ARはフレーム、内部装甲、魔法行使装甲、外部装甲の4要素でできている

 フレームは、機体の形と動きを決める要素をになっており、ARにおいての腕力、脚力などを決める要素の約半分を占めている。また、もっとも改良が加えやすい部分と言え、今でも改良に改良が重ねられ、水中用、空中用、長期戦用などといった多数のバリエーションご存在している

 次に内部装甲、これは、フレームを衝撃で折らないようにするためのクッション材のようなもので、 ほかの金属に比べ、比較的柔らかくしなる素材を使用している。内部装甲製を使用してからフレームが「折れたぁ!?」なることは格段に減ったとのこと

 そして魔法行使装甲はフレームと同等かそれ以上に重要な要素。魔法行使装甲の役割は主に機体全体への魔力の供給と魔法の行使である。この装甲は機体全体へ魔力を送り、機体を行動可能にする…すなわち、電気を通すために必要なものような役割がある。要するに、ここが壊れれば動かなくなる可能性がある、というわけである。(実際はフレームにも備蓄魔力庫を積んであるので少しの移動くらいなら可能だが)また、魔法を行使するという役割もあり、機体に乗った状態で、人類族と英智の結晶である「魔法」を使えるという、戦闘能力という点において、最大の役割を持っているのだ。しかし、魔法を行使できると言っても限度はあり、装甲に刻まれた魔法しか使うことができないのと、その刻まれた魔法にもひとつの装甲に刻めるのには限度があるというのが、弱点となる

 最後に外部装甲。そのまま内部を守るために使われる1つ目の盾。装甲の種類は機体によって様々であり、めちゃくちゃ硬い装甲や、柔らかく沈み込む装甲など、その機体に合わせたカスタムが可能になっている

「次に、動かすために必要な機関についてです…」

 ルイスの話はARを動かすための機関の話になっている

 ARを動かすのに必要な機関は主にコクピットの周辺機器を除き、2つだ

 1つ目は、ARの心臓でもある魔力供給機ワルキューレヘルツ(略してワルツと呼ばれている)。

 ワルツは、後述する魔装転換機ハイブリッド・ヴァルキュリヤ(これの略称はハイヴァル)から送られてくる魔力を機体全体に送り渡す機能を持っている

 そして、先程の魔装転換機ハイブリッド・ヴァルキュリヤは、人の体力を糧に、機体専用の魔力を作る機械である

 人の魔力は変換効率が悪すぎてARに流したとしても起動すればいい方なので、ものすごく燃費が悪い。そのため開発されたのがこのハイヴァルである

 ハイヴァルは、魔力よりも変換することに特化した体力を元に、機体に通ずる魔力を精製する機械だ。人の体力は少量でARが一日以上動ける分の(あくまで、動くだけだが)魔力を精製することができ、ものすごく燃費がいい。そのため、この機械で体力を魔力に変換することにより、ARの動力源としての魔力を精製している。また、この魔力は、人間の魔力と同じく、個人の色があり、ドライヴと呼ばれる一部分の機体で何年間も試験用としてつまれている、「ドライヴ」という機能を使用した際は、パイロット個人特有の色が湧き出るのだ

「ここからは少々職種の違う話をしましょう。そう、プログラムです」

 ARのプログラムというのは主に2つの要素にわけられる。まずひとつは、動力に関するプログラム。どういうふうに魔力をまわすのか、また脚、腕、などの部位を動かすための信号を出すという仕事をする。

 そして2つ目がARの記録、読み込み、吐き出し、その他を行うプログラムである。このプログラムでは、腕、脚を動かす以外のほぼ全てを担っている。そのため、魔法の読み込み、記録などはこのプログラムがないと動かないし。そして、このプログラムを補助するのがオペレーティングディスクODと、魔法の演算を行うセントラル・ドグマ《CD》だ。ODとCD、その種類によってもかなり性能に違いがあり、特にODを様々な種類に分けて使うことで、その機体の特徴を出している

 まあそれも、あくまで機体性能を決める1つの要素でしかないが

 余談だが、実はこのプログラム、操縦者自信の魔法能力で演算などは処理をされない。というか、操縦者がプログラムに直接魔法を使うということがないのだ。魔法陣という、それを書けば同じ魔法を再現出来るという便利な代物を刻んでいるため、魔力を流すだけなのだ


「そうですね……基本的な構造はこの程度でしょうか。詳しい魔法については僕の専攻じゃないのでアイカさんに聞いてみれば分かるかもしれません。それじゃあ、僕はまだ開発すべきものが残っているので、気になることがあれば聞きに来てください。すぐそこの学校の研究室にいます」

 ルイスは一通りの説明を終え、そそくさと帰って行った

「うーん、まだ足りないな……。アイカに魔法について聞きに行くかな」

 ハルトもそうつぶやき、格納庫を後にした



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