幕間 禁忌(美少女)との邂逅
魔法生物「マリウス」が暴れだしてから、約10年。各国は、これを脅威として……捉えるはずもなく、逆に知名度と威厳をあげるための手段として、「マリウスに対応できる強い機体」を作り始めた
最初にマリウスの脅威が低い国から、コクピットに手足をつけただけの簡素なものが発表され、次第に胴体が作られ、マニュピレーターが細かくなり、武装が作られ……といったふうに各国が競うように、機械を作り出していった
ある時、競走を超激化させる火種を油を充分に染み込ませた状態で投下する、火付け役の国が登場する
それがこの国、グレスグル王国。魔法を媒介にプログラムを作る方法を発明し、史上初の、「すぐに実戦投入できる機械」を作りあげた
その機械は、これまででは考えられないほど緻密に、素早く、正確に実行に移すことが出来た
それは、マリウスとの戦いにおいても高い能力を発揮し、いつしか全世界においての「対マリウス専用兵器」としての役割とされた
だが、対マリウス専用兵器と呼ばれるのは、"戦闘力が高すぎる"故であり、それは、マリウスか、同じものでしか対策できないのだ
そのため、次第にこの兵器は、強すぎる兵器として地位を得ることになり、戦争や制圧に使われるように……ならなかった
いや、ならなかったというのは言い過ぎかもしれない、実際には少しだが、対人でも使われている
そんな兵器は、全世界がより強く、マリウス殲滅に適したものを作っていた
その後、人々は人が驚異に立ち向かうために纏うものとして、こう呼ぶようになった
ー
そして、小さな小さな、自然と都会がちょうどよく調和している国、グレスグル王国。
このままではこの国の地位がなくなってしまうと考えた上層部は、あるシステムを作ろうと画策する
そんなシステムを使うために構成された、精鋭部隊という名の使い捨ての部隊
「第4テスト小隊」
その部隊の中に、風変わりな男がいた
歳は17くらい、どこか楽観的というか、最終的に自分が頑張ればなんとかなるという考え方をしていると、言われている
その青年の名は、「ラウト・レジット」
趣味はお絵描きの自由人である
どこかに煌めきさえ感じる綺麗な白髪に、幼さを残す整った顔。程よく鍛えられた体。
容姿端麗とまではいかないが、容姿はいい
「で、僕は何をやらかしたんです?」
そんな青年が、白い部屋で警察に詰められている
しかも、僕"が"ではなく、僕"は"であるとこを見ると、自分がなぜ詰められているかわかっていないようだ
実際、彼は何もしてないのだが
「今回も特に何もしてないよ。君はね」
「はぁ、毎度お疲れ様です」
「普通なら一蹴するとこだけど、君だからねぇ、素直に受け取っておくよ」
「で、今回の罪状(適当)はなんでしたっけ?」
「痴漢、の冤罪」
「あー、また……」
彼……ラウトは、取り調べを行っている警官に対し、軽々しく話しかける
言動から見るに、どうやらこの警官と話すのはこれが初めてじゃないようだ
「で、もちろんお相手は……」
「そうだよ、アルカだよ」
「またですかい……」
「君も大変だねぇ……」
2人揃って遠い目をしてる理由。それは、ただ1人の少女を取り巻く環境にあった
さて、ここで少し昔話をしよう
といっても、ここ2年間程の話だが
2年前のラウトは、今と同じく軍に所属していた
テスト小隊は存在しなかったが、新型機をどこよりも早く使えるという小隊に所属していた
そして、ある日事件が起きる
なんでもない、休日
ラウトは、なんとなく街を歩いてみようと思い立ち、赴くままに、街中を散歩していた
ふと、なにかを感じ、すぐそこの角を曲がった
すると、そこには、1人の美少女がいた
赤い髪に、緋色の瞳、程よい胸の膨らみと、女性的な体型をした、確かな美少女だ
そんな、美少女は、角を曲がってすぐに見える家の窓の前で、カーテンを閉めずに着替えていた
普段、といっても、ラウトは普段の彼女を知らないが、普段の服装より肌色の多い姿で、
程よい大きさの胸が、彼女の体をより一層扇情的にしている
また、姿勢もスカートを履こうとしていたのか、前かがみになっており、ふたつの膨らみが触れ合ってできる、その隙間がその存在感を主張してならない
そして、その少女と、バッチリ目が合った。バッチリミナーということでもある
要するに、1人の少女……アルカ・レイポジットの下着姿を見てしまったのだ
それだけなら良かった。しかし、天はそこまで優しくなかった
「な、何見てんのよーっ!」
顔を真っ赤にしたアルカは、そこら辺にあった衣服を主に上半身に抱き寄せ、ラウトに指を指し、そういった
「……すいませんでした。そしてありがとうございます」
ラウトは誠心誠意謝る
しかし、彼女にその声は届いていない
「あ、あんたね!?、私の下着をぬ、盗んだのは!」
「いえ、人違いだと思います」
ラウトにとってははっきり言って訳の分からない糾弾だったが、ラウトは努めて冷静に、弁解を試みた
しかし、
「魂後道断!盗んだ人はだいたいそう言うのよ!」
「その通りだし、多分君が言いたいのは言語道断だと思う」
(魂になった後って一方的に斬られるのか……)
しかし、彼女がこうなるのも不思議では無い。というのも、ラウトは知らないが、彼が下着姿を目撃する数時間前に、彼女の下着が盗まれており、アルカの警戒心は、いつも以上だった
「うるさい!いいから大人しく、お縄につきなさい!」
そして、そこにのこのこと運悪く、覗いてしまったという風になったラウトを下着泥棒と勘違い。警察に突き出すという流れだった
それで終わればよかった
その1ヶ月後
急用という名の呼び出しを受け、ラウトが急いで走ってるところに、ドンという衝撃が走った
目を開けると、赤髪の美少女の胸の膨らみを、彼の封印されし右腕と左腕が鷲掴みにしているではないか
「…………きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
その赤髪の美少女とは、何を隠そうアルカであり、叫び声をあげたのもアルカだった
もちろん、即ご近所さんに通報され、警察に連行。その時対応してくれた警官が、奇しくも
しかしその1週間後
ラウトは、暇だしリューターでも買って部屋にあるものをとにかく回そうと考え、リューターを買いにホームセンターへ歩いていた
もちろん、赤髪美少女とぶつかり、スカートに頭を突っ込むことになる
あとは1週間前に起こったことと同じ展開
まだ終わりはしない
その5日後
ラウトは、全自動丸書き機でも作ろうと、素材を集めるため、またホームセンターに向かっていた
その時、赤髪美少女が以下略
3日後
ラウトは、愛用しているタッチペンの充電器が壊れたので買い直そうと以下略
2日後
ラウトは、間違えてタブレットを防弾盾代わりにして以下略
1日後
ラウトは、以下略
こんな感じで、アルカとの騒動
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「…………とさ」
「誰に説明したかは知らんがそのしたり顔をやめろ」
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