第10話 王宮と王様とここからでも入れる保険

王宮

そこはその名通り王が住む場所。家かどうかは国によってまちまちだが、基本的には中世などではそのまま家になっていることもある

また、そのまま家になっている場所は、民家とも言えると思うかもしれないが、それは違う。王とは、神に近いはずのただの人間であり、王は王なのだ。王がすまう場所は民家ではなく、それをさす言葉がなかっため、王宮という言葉ができたのだ。少なくとも、この世界では。

元の世界、すなわち地球。そこでは、王が住まい、住居と政治的建造物としての役割を揃えたとても利便性の良い建物だ。

どちらかといえば、王宮ではなく宮殿と呼ばれる

一般的に中世では、戦士階級(強さランク見たいなもの)と世俗君主階級(偉い人のランクみたいなもの)が一体化しており、防衛、最後の砦的な役割も果たしていた。

また、政治的建造物としての役割は、この世界でも一体化しているとこが多い


そんな王宮(宮殿)は、平日(月曜~金曜)は、役所としての機能だけを一般解放している

ただ、それはあくまで一般。呼び出しをくらえばそこまで行かなければならない


ギリギリギリ

(胃が痛い……)

もはや穴が開く音が聞こえるという段階を飛ばしてついに濁音が混じりだす。胃に穴があくのも時間の問題だろう

ハルトが立つ場所は、大きな中世の白のような形をした大きな建物。そのような見た目にしては、ところどころホログラムが見え、時代にそぐわぬ近未来感を演出している


そう、そこは王宮。まさに今説明したそれだった

もちろん、王宮は行政施設を一般解放している。しかし、今は日曜。れっきとした休日である

ということは、ハルトは確かに王宮ひいては王に呼び出されたということであり、何が行われるのかはわからないが、自分に不利益であるということは想像にかたくない


「ほう……ここが……」

そしてハルトの隣に立つ青年が1人

先程道でぶつかってそのまま道案内をした人物だった

「銃を売ってるようには思えないな……」

売ってないので当たり前である

この青年も王宮に呼ばれたらしく、ハルトと一緒にここまで来た

本人は銃を売ってる場所だと思っているようだが


「お待ちしておりました。ハルト・シュトウ様とカイレ様ですね」

「はい」

「そうだ」

突如として表れたメイド風の女性に名前を呼ばれる2人

恐ろしく早い確認……!俺でなきゃ見逃してしまう

そんな言葉が似合うスピードだった

「では、国王がお待ちしておりますので、私についてきてください」

女性がそう呼びかけ、王宮に入っていく

それに慌ててついて行く2人

「しかし、店長の代わりが国王とは、変わった店だな」

こいつはいつ気づくのだろうか、そう思うハルトであった

_____________________________________________

清々しく晴れ渡ってる空にある太陽が、王宮の中に降り注いでいる

そんな中、降り注ぐ日光とは対照的に、体中にあせを降らせる男が1人

そう、我らが主人公ハルトである

(やばい。ものすごくいけない。この状況はほんといくない)

ドッドッドッドッ

心臓の勢いが、そばに現れ立つそのビジョンから名付けられたときのような音に変わる


その隣には、なるほどとかいう顔で頷いている青年が1人

先程ウンメイノー出会いをした青年カイレである

ちなみにガンショップではないと先説明した

30分かかった

(ここが王宮……。デカイな。制圧に苦労しそうだ)

よく分からないが感心していた

ギギギギ……

ドアが自動で開いていく

人の力は一切使っていない

モーターと魔力で構成されている

そんなドアが重々しく開いていき、徐々に国王のいる部屋が見えてくる

真っ赤で上品さを感じさせるカーペット、その隅にはところどころ金色の装飾が施されている

何より目を引くのが、巨大な椅子

成人男性が座っても背もたれが余るほどの大きさだ

もちろん、国王専用の椅子…なのだが、その椅子には国王はおろか、使用人すら座っていない


「おお!皆さんお揃いで」

その椅子のさらに奥から、カイレと同じくらいの歳であろう青年の声が聞こえる

(ん……?この声、妙だな……)

しかし、ハルトはこの声に妙な違和感というか、既視感を覚える

椅子の後ろから、青年がひょこりと顔を出す

そして、ハルトの既視感は、確信に変わる

「はじめまして、カイレくん。そして、久しぶり、僕のこと覚えてる?」

カイレに挨拶をし、ハルトに質問をぶん投げる

「そう、ある時は医者。ある時はエンジニア。真の姿をこの国の国王!キギア・マカルトだよ」

そう、国王とは、ハルトの戦いを後押しすることとなった、医者兼エンジニアだったのだ



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る