第8話 R15と勇気と補い方

目が合った。アイカと

そりゃぁもうバッチリと

「……………………………………」

ハルトだけの長い沈黙。

「来ちゃった」

来ちゃったじゃねぇよ何してんだよ

ハルトはそう思った

「……出てって欲しい。布団から」

「やだ」

「やだじゃねぇよ」

どうやら意思の疎通はできないようだ

「ねぇ、ハルトくん。ボクのことは嫌い?」

急な質問にハルトは言い淀む

「実は、ボク、親がいないんだよね」

「実に急なカミングアウトだ」

何が彼女をそうさせたのかはわからない

多分、一生わからない。というかわからなくていい

「なんで、それを俺に?」

ハルトはアイカの質問の嵐に負けじと、反撃を試みる

そもそも、ハルトと出会ってまだ1度しか会ってない。そんな、知り合い程度の人間に普通は話さない秘密を話した理由は、見当たらない

「あの時、話してて思ったんだよ。君ならいいかもしれないってね」

「そうか……」

アイカがごそごそと体制を変える

「それで、ボクのことは嫌い?」

もう一度、囁くような甘い声でアイカが尋ねてくる

「嫌いじゃないけど……」

嫌いじゃないわ!!そんなことを言ってる怪人いたなーとか思いながらハルトは答える

「むぅー。すきかきらいかでいったら?」

「……好き」

可愛い声でそう尋ねるアイカにドキドキしながら答えるハルト

「じゃあ、こんなでも?」

アイカはいつの間にか脱いでいた上のパーカーの下に存在するはずのブラジャーをずらしながら、またもや体制を変える

今度の体制は、身体全体でハルトに重なるよな体制だ

しかし、その体制は目に悪い

つけていたブラは、少しサイズがあってなかったせいか、空間を開けるようにして重力に従い、豊かとはいえないが、健康的な発育途中の胸を露わにする

「ボク、君のこと気に入ってるし、君ならいいと思う」

「……?」

?マークが70億くらい突っ立つ

「だから、シよ……?」

「……………とりあえず、ノーと言っておく」

断った。並の人間ならば即ロマンティクス といっても不思議じゃないほどの魅惑的な言葉。だが、永きプラモとの決戦の後のアホみたいに脳細胞一つ一つが四方爆散したあとのハルトには効かない

「そんなこと言わずに……ん…」

唇が塞がれる。アイカの唇によって

甘い風味の後に、うねうねとした舌が入ってくる

「ん…、くぅ…ん……」

ぴちゃぴちゃという卑猥な音を響かせながら、口の中で舌が縦横無尽に駆け回る

「ん…はぁ…」

短いようで長く、体感ではそれ以上に長いキスが終わる

唇が唇から離されたことによって

「じゃあ、続きだね…」

アイカがブラジャーをずらし、胸を露わにしていく

まずは、もともと見えていた肌色がよく見えるようになり、だんだんと先端が見えてくる

やはり、女性的な膨らみは、小さい方だが、それでも抗いがたい魅力がそこにある


ピンク色の突起が見える

胸に、ではなく、壁に。

「…………………?………はぁっ!?」

メキメキメキ

ピンク色の突起が壁を突き破り、壁が破壊される

急いでハルトは壁から離れ、ついでにアイカも持っていく。その際、抱くような形になったが気にしない

格好よりも命である

「……!ありがと……」

「言ってる場合か!」

もはや見当違いも一周まわって狂言になるほどの感謝せんきゅーをハルトは一蹴する

メキ、メッキメキバゴォーン!

派手に壁がぶっ壊れる。大きな音ともに

瓦礫が部屋の中に矢のようにばら撒かれ、コンクリートで散乱する

ピンク色の突起は塗装が剥げたのか、銀色へと色が変わっている

突起の大きさは直径やく3m。人の住居を破壊するには充分だ

ハルトは謎の崩壊が止まったことを確認し、外に出る

「なにあれ」

もう、出口から出る気もなくし、ぶっ壊れた壁から外に出たハルトは、そうこぼした

ハルトの目線の先にあるもの、それは赤色の柱。大きさは25m近くあり、その頂点近くには、左右対称の円錐型の何か、その下には、DNAのような形をしてからまっている何かが、左右非対称にそれぞれ浮いている

しかし、何より目を引くのは本体と思わしき棒の真ん中に垂らしている、タスキ(のようなもの)。そこには、人が読める文字で、「あんたが主役」と書いている

それが、生えていた、森の中に。

それがいるだけでカオスな空間を生み出していた


まさに、あんたが主役ウォーイェー


アイカに聞こうにも、さっきまで起きていてのに、今ではもう寝てしまっているので、聞きようがない


てくてくてく

目の前を人が通る

ふと、その人はハルトの前で足を止め

「被害、受けました?」

そう尋ねてきた

「ええ、まあ。ところで、これ、なんです?」

「これね、こいつはこの時期になると生えてくるんですよ。ここら辺に、必ず一体」

わけがわからなかった

ハルトは混乱した

。補償されると思うので、心配しなくて大丈夫ですよ。」

「そ、そうですか。」

「もうそろそろ、討伐隊も結成されるでしょうし、まあ、風情ってやつです」

「な、なるほど」

規格外の風情にびっくりする

「じゃあ、私はこれで行きますんで」

「ありがとう、ございました」

人のいい女性が去る

ふとハルトが柱に顔向けると、円な目と目が合った。柱の目立った。反省してるような顔だった

____________________________________________

「…………………ごめん」

これが、朝起きたアイカの第一声である

後に、これまでの中佐をまとめてきた軍部萌学の顔と知られてきた書物である「歴代中佐達と知る、軍の中にある萌え」(台中書店 著 カッヒコ・アキャマ)により、「これは、自分が起こしてしまった過ちにたいする素直な謝罪でありながらも、内容により自分が起こしてしまったのにも関わらず、恥ずかしさを覚える、萌を体現した高難度な萌である」と表し、その言葉は最高難度の言葉として世界各地の学者が解読するために頭を悩ませているという


「大丈夫?記憶ある?」

ハルトはとりあえず聞いてみる

「うん。ある。けど……」

「?」

「わすれてぇ……!」

涙声になりながら言うアイカ

それとは対照的に、忘れることは無いだろうなと思うハルトだった

「気分は?どう?」

「う、うん。大丈夫」

ならよし

外では元気に赤い柱が円錐だけをぐるぐる回している

ドガバキ!エンペラー!

壊れていない方の扉が叩かれる

「へーい」

ハルトが対応する

出てきたのは、リエルとカルト

「えー、お知らせです。あの赤い柱の討伐戦に参加しろとの事です。強制ね」

リエルが告げる

「このぉ、馬鹿野郎ォォォォォ!」

ハルトの慟哭がひびく


次回!ハルト、死す!

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