第3話 攻撃と刃と新装備
敵機が弾き飛ばされる
「何とかなった…、よかったぁ〜」
全身から力が抜ける。何も出来ず死ぬかもしれないという恐怖から解放されたからだ
だからといって、死なないという訳では無い。
ここは戦場である。無論、死と隣り合わせだ
「さて、俺は俺なりにやって見ますかね」
そう言って、晴人は機体を加速させ、戦地の中心へ走る
ヴォン
ビームが横を通り過ぎる
その、戦いにとってなんでもない現象が、晴人に緊張感を持たせる
ガン!
目の前にいたARに、この機体、イクトライトはパンチをくらわせる
その一撃では、致命傷にはならない
ならばと、また一撃、さらに一撃と拳を加えていく
ついに、敵機の各部が悲鳴を上げ始め、火花を散らす
それを機にイクトライトは後退する
ある程度の距離を取ると、すぐに敵機は爆発し、撃破される
(やったか……)
撃破したはいいものの、人を殺したという事実に少し罪悪感が残る
(…とりあえず、何か武器は必要だな)
その罪悪感を無理やり振り切り、新しい武器を求めて辺りを見回す
(なにも、ない、か)
辺りを見回したところで、あるのはARの残骸ばかり。
(…お?)
そんな中に、光を受けて白金に輝く一振りの剣を見つける。
刃は片刃、刃の軌道は少し弧を描いている。その姿はまさに、刀。
ヴゥン
「ぼーっとしてたのが悪いっ!」
晴人は自分自身でそう叫びながら、慌てて自らを焦点とし発射されたビームを避ける
横側に転がりながら、何とかビームを避ける
だが、無論、それで終わりなわけがなく、ビームはさらに数をまし、こちらに迫る
晴人はそれを宙に舞うことで何とか回避する。
「うっ!」
落ちる時の激しいGに、思わず声が出る
内蔵をかき乱されるような衝撃、そして、重くのしかかる圧力
操縦桿を握るので手一杯だ
ボン!ボン!ボン!
ミサイルがイクストライトを襲う。
落ちていく最中だったため、避けることは出来ない
そのため、ほぼ全てのミサイルがイクストライトに命中し、吹き飛ばされる
「があっ、あっ!」
その衝撃に呻く晴人。再度宙を舞うイクストライト
時間にして、たった1秒足らずの出来事。それが何分もたったかのように感じられる
イクストライトは、地に落ちる。
敵機である、トリアスが、実体剣に光の
地に落ちた、イクストライトは立膝の状態にやっとなれたところ
全ての状況において不利だった
(ここまでか…?、諦めるな、まだ、なにか、手が…)
そう考える間にも、トリアスは近づいている
(っ!)
「忘れていたっ!」
そんな絶望的な状況の中、彼はあることを思い出す
イクストライトとトリアスは、少し距離が離れていたため、レイドソードの射程に入るまでは少し時間があった
だが、その時間ももう、無くなり始めていた
トリアスが、レイドソードを振り上げ、斬りかかる
ガキン!
だが、その攻撃は防がれる。イクストライトが持つ、実体を持つ刀によって。
すぐそこにつき刺さっていた刀。それを晴人は咄嗟に胴体の前に水平にかたむけ、敵に刃を向けた
俗に言う、「剣で行う防御形態」である
また、彼の剣を構えるまでのスピードは、常軌を逸しており、敵機のトリアスの反応はほぼ不可能に近い
晴人が、ARの操縦に関して、初心者であるのに、このようなスピードを出せた理由。
それは、魔法の力によるものである。
魔法は、人智を超えたものであるのと同時に、魔力そのものが、人の脳の処理能力と反応力を拡張する力がある
そしてその能力は、興奮するとさらに力をます
ということは、常に死と隣り合わせの戦場において、興奮していない時などなく、その能力を活かすにはピッタリである
そのため、咄嗟のその判断ができ、ARの操縦は、パイロットの魔力波長を読取り、その時、やりたいことを補助するという機能を持つ
それが組み合わさり(プログラムにも似ていたことも)このような芸当が可能になったのだ。
そもそも、これは普通のパイロットにできることでもないが。
敵機は、弾かれる。
イクストライトは加速し、さらなる追撃を叩き込もうと、接近する
「はぁーっ!」
ダウンから復帰したトリアスに、斬撃を与える
その斬撃は、連撃へと変わる
上、下、右、上
と、斬撃を続ける
だが、敵もそれでやられてはくれない
先程の斬撃で吹き飛ばされた反動を利用し、体制を立て直す
そして、ミサイルをポッドごと、イクストライトに射ち、それを煙幕としてイクストライトに接近する
「くそっ!」
レイドソードの一撃。
さすがにこれは避けきれない
それでも、なんとかその場で吹き飛ばされず、留まる
白い
しかし、それより先に動くは赤の閃光
イクストライトだ
ビームの軌道など予想はしていないが、当たらないことを祈りながら、
バシュン!
そのような音ともに、刃が、トリアスを斬る。
一瞬遅れて、異音がトリアスから聞こえ
二瞬遅れて、爆発する
三瞬遅れて、狼煙が上がる
狼煙の色は、青。
戦闘終了と勝利の合図だった
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