第2話 初戦闘と破天荒とシステム

「ここが戦場か…..」

遠くに敵が見える

数は4。決して多くはないが、18m級だとなると、一日で街一つは滅ぼせるだろう

(全ての機体がビーム兵器を装備、となると、一機で状況をひっくり返す、のは難しいなというか軍はなにをしているんだ。少しぐらい兵を残しておけよ。)


無論、相手の機体は武器を装備している

しかし、彼の機体の武装は、無し

ご都合展開なんてない

厳しい世界だ


ビュン


晴人の横をビームが通り過ぎる

(得物がなくとも、戦わないとな)

そう思い、晴人は加速し、敵に急接近しようとするも、動かない


「はあ!?」


思わず素っ頓狂な声を上げてしまう

さっきまで動いていた機械が動かないのだ

(一体どうなってるんだ?)

考えている間にも、敵は増え、動かない格好の的となっているその機体を目掛けてやってくる


(時間が、ない!)

いくらそう思ったところで、まだ動かない

まずは一機、晴人に近づいてくる。

ヴーヴー

コクピット内に警報音が鳴り響く


敵機は、晴人が乗る機体の腹に拳を突きつける

世間一般的には、「殴る」と呼ばれている行為だ

「ぐぅっ!」

殴られた衝撃はコクピット内に濃く伝わり、晴人の身にも影響する

(なにか…)

続けざまに、蹴りを入れられる


先程から鳴り響く警報音は、より大きさが増し、危険を伝える

(これは、機械…なら…)

彼はひとつの賭けとも言える方法を思いついた。

だが、それは、時間と場所の関係でできる可能性は10%に満たない

(やってる見る価値はあるか)

その方法とは、この機体のシステムを動けるよう書き直すこと


しかし、それはここが異世界であるという、ことと、この場所で書き直す時間が無いという最大級のハンデがあり、難しい

不可能に近い行動だ。

(システムってどう見るんだろう)

彼はそんな不可能を可能にしようと、機体のプログラムを閲覧しようと、ガチャガチャしてみる


何も起こらない

それもそのはず、この世界でのプログラムとは、魔法を使って動かすこと、魔法というか、その力の源である魔力を流せなければ、ブログラムを書き換えようなど土台無理なのだ。


ビームを纏った剣が、機体をかする

そんなことお構い無しに、晴人はコクピットをいじり続ける

(一体どうなってるんだ…。……魔法か何かで形成されているとしたら、困るな)

思考は近いだが、そもそもこの世界に来てまもない彼では、無理がある

(魔法、魔法、魔法…。念じてみるか)

念じても、何も起こらない。


敵機のビームが機体を襲う

(くそっ!)

警報音はこれまで以上の大きさとなる

(このままじゃ…!)

起死回生の一手は、ない

どうしようもない状況だ。だが、彼にとってそれはあきらめには程遠い。


だからこそ、彼は叫ぶ

「答えてくれよ!アルミュール!」

彼はそう言って、操縦桿を前に押し出す。思いっきりの願いを込めて

光が、走る

システムが反応する。


晴人の欠けらが繋がる

魔法と魔力が反応する

「!」

何があったかはわからない

神秘の領域に近いが、とりあえず、反応した


(あとは、こっちのもの…)

何が起こったか、何が反応したのか

そんな些細なことどうでもいい

今はただ、この戦いを切り抜ける、そのためだけに、彼は奮起する


幸い、プログラムの形式は、彼がよく知るものとほぼ同じ。

彼の本領はここからだ。

(ネットワーク再構築、機体動部に運動モジュール接続)

ものすごいスピードでプログラムが書き換わる。

彼が所属していた会社は納期がものすごく短く、徹夜してもギリギリという極限状態だった、その仕事をしていくうちに彼ら会社員一同は、プログラムを一目見ただけで、異常を検知でき、普通の会社員を遥かに超えるスピードでプログラムを書くという、前代未聞な行動を身につけていた

(装甲にリトルブロッカー配備及び、機体アンテナにメカニカルセンサー接続)

とうとう、機体が動く範囲までの修正は終わり、本来機能するはずの機能の修正に取り掛かる


この速さは、さすがに某会社の会社員一同でも無理である

なぜ、これは可能か、その理由は単純。

彼が、あの会社でのエース。要するに、プログラムを書くのが最も速いスピードライターだったのだ。そのプログラムを書くスピードは、通常会社員の速さの3倍を誇るのだ


ということは、通常の人間をさらに上回るスピードを持っているということ。

無論、それは、自分がプログラムを書くことが出来さえすれば、発揮される

(魔法留板マギウスプレートにエネルギー分量を配置、体力ゲージ?を更新ついでに、パイロットに最適化)

プログラムは仕上げの工程へと突入する。

しかし、それと同時に、敵機の攻撃も始まる

AR《アルミュール》の通常装備であるレイドライフルからビームが発射され、寸分の狂いなく晴人の機体へと向かう


(魔力ゲージを最新状態へと更新、リトルブロッカーにプロテクトゲージを接続)

プログラムが形成される

同時に、敵機の剣が期待を貫こうとする。

(パイロットとの、エンゲージリンクを再構成、パイロットに最適化、最後にマギウスリアクターを機体全体に接続)

プログラムが完成する


「いける!」

晴人の乗る機体は、動けるようになった

だが、敵機が持つ光のレイドソードが今、この機体を貫こうこうと、目前まで迫っている

ガギュン

鈍い音が響く。

火花と、煙の中に残ったのは、敵機を殴り飛ばす赤い機体


晴人の機体だった



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