第166話 底知れぬ闇
我は魔王シャグァル。
世界最強である魔王の一体である。
世界を統べているのは人では無い。
多種多様の姿で繁栄しているのは虫である。
その王である我は世界の王と言っても過言では無いだろう。
しかし、目の前に底知れぬ闇を纏った異形の存在が降臨した。
この身が恐怖し、震えている。
神気を甲殻に練り込み、金色の境地へと至ったこの我が。
ゴールデンシャグァルとなった我が最強であるはずだが。
恐怖に負けた我は、奴に極雷を放つ。
先ほどまでとは比較にもならない規模で。
通常であれば地平線まで焼け焦げる電気熱によって人間共と死ぬはずだ。
しかし、奴に当たると同時に極雷は消失する。闇属性を見るのは始めてではない。
希少さ故に数はそれ程ではないが
奴らも同様に闇属性の特性であるエネルギーの吸収と消失を上手く使ってきたが、限界値という性質上の弱点がある。
我の雷で限界値を超え、
だが奴の闇は底が知れない。
石を落としたとて音が聞こえない程の深淵。
一撃ではダメだ。
であれば極雷を複数、もっと多発的に威力は最大で浴びせる。
魔力と神気を雷へと変化させる。
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『雷光君主』
・神雷を複数放つ技。一つ一つが地の果てまで届く凄まじい威力を持ち、掠るだけでも致命傷となる。
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我の最大最強の技。
余裕そうなその面にぶち混んでやろう!!
意気込んだが奴の前で我の雷はこの世界から追放されたかの様に消えていった。
意味が分からない。
我は何と戦っているのだ?
あの方と同等?
いや、あの方ですら………。
奴は瞬時に我に近づくと頭を掴み上げる。
砂のようにボロボロになる我の頭部。
コレが底知れぬ闇の力。
しかし奴は言っていた。
奴の本来の力ではないと………。
であれば奴の力はどれほどの………。
✳︎
首なし魔王となった遺体に何かの種子を埋め込むヴァルトメア。
「グロウアップ『憶海の暗藻』」
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『憶海の暗藻』
・宿った死体の記憶を読み取り、乗っ取る褐藻類。動く死体となり、能力は生前の体に依存する。
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首なし遺体が突如として起き上がり、山脈へと移動していく。
「案内してね。君の体が無ければ開かないんだから」
空を飛ぶ二つの影。
あまりの速さに乱気流が発生し、鳥を狂い落とす。
たどり着いたのはシャグァルが長きに渡り眠りについていたデスボロス山脈の山頂………ではなく山中。
長い長い洞穴の奥には魔導文字の様であるが見たことのない文字。
シャグァルが近づくと文字が輝き浮かび上がる。
するとただの岩壁であった箇所が重厚な扉へと変化していき、ズズズと重そうな音を立てて開く。
中には時空が捻じ曲がったかのように空間が歪んでいる。
「ココがね………。さて行きますか」
シャグァルの遺体を粉砕するヴァルトメア。
次元が渦巻くダンジョンの入り口に進み、その姿は消えていった。
神代の秘宝が眠るダンジョン。
EXダンジョン『時間と空間の魔宮』。
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作者です。
描写はいずれ書くかもしれませんが
冒険者、傭兵ギルドに情報を降ろしたのは勿論バレリアですが、バレリアに情報を渡したのはヴァル………おっと間違えた、御使いを指示された………もとい、ヘルちゃんです。
ヴァルトメアが闇の力を使ってシャグァルの頭を消し飛ばしたのは、分子結合を消失させた的なヤツです。
詳しくはヴァルトメアに聞いてください。
ちなみにヴァルトメア自身はこの力を
闇ちゃんモードと呼びます。
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