第165話 蟲と植物

 草タイプは虫タイプに弱い。


 そんなこと誰が決めたのか。


 はい、ゲームフリー○です。


 最近少しだけマサトくんの時の夢を見るんだよね。


 そう。


 灰色のね、ゲームヴォーウィに乾電池を入れてただただ緑っぽい画面に映し出される黒いバケモンの闘いを虚無感メキメキで昼も夜もコーヒーにてガンギマリして攻略していたのを。


 そのゲームの草タイプはそりゃもう最強ですよ。ツルのムケチン○でバッシバシ、タケオの金のツブテイシをぶっ叩いてあひんあひん言わせて、クズイーワを千切っては投げ、千切っては投げを繰り返したあの日々。


 キャスミちゃんはチートキャラだと思ったが、しかーし、草タイプはそれでも止まらなーい。


 奴の水ポケモンでは草タイプには勝てない。

まぁレベル上げは頑張ったんだけども?

相性差さえ奴はビッグウェーブに乗って乗り越えてくるからね。


 ほら最強でしょ草タイプ。

ここまではね。

それ以降はね、行っちゃいけない禁漁区。


 でもね、聞いて?

虫タイプに何が出来る?

トワキの森で経験値にされるのが関の山じゃない?


 かたくなるしか出来ないからね?

芋虫が出ても、なんならガッカリするからね?

あいつら経験値ひっくいから。


 ほら、虫タイプって残念でしょ?

草タイプの方が偉いから!!


 と言うことで今から虫タイプ……ぶっ潰しまーす。


           ✳︎


 というたまに出る消えた筈のマサトくんの人格一人漫談をめちゃくちゃ真剣な表情で行いながら今に至る。


 天に昇る威圧感と神気を迸らせながら、キメ顔であの方ぶっ潰します宣言をしました。


 「あの方をコロスだと? お前が? 我らが主人はこの世界の支配者の一柱ダ」


 「知ってるよ。闇ちゃんが言ってたからね。それに俺くんがこの世界に来た理由でもあるみたいだから、まぁ仕方なく? ん? 何となく? 事故に遭ったと思って殺されて欲しいものだね」


 「殺されるのはお前だ。今ここで、無様に醜く、何度でもコロシテヤル」


 全身から緑色の雷が駆ける様にシャグァルの身体を巡る。


 纏わりついた緑雷は身体強化を極限まで施し、最高の硬度を持つ甲殻を更に硬く、獲物を切り裂く爪や顎をもっと鋭利にした。


 グググっと脚に力を込める。


 地面はあまりの脚力に遠くの方までひび割れ、ヴァルトメアの後ろに現れるシャグァル。


 まさに瞬間移動というべき尋常では無い速さ。


 鉤爪を伸ばし引き裂こうとするが、ヴァルトメアは上手く魔力を纏い体をプロテクトする。


 「久々にバトろうかな。最近じゃ植物ちゃん頼りで終わりだから。体がなまって仕方ないからね」


 「後悔するナヨ」


 「あー、大丈夫大丈夫。本気は出さないから」


 「舐めるナ!!」


 緑雷が紫電へと変化する。

相手の細胞を害する毒を持つ雷を右腕に纏う。


 「なにそれ。当たるとやばい系? なら当たらなければどうということはない」


 雷速。

人間には到底避ける事は出来ない速度。

いや、反応すら出来ないだろう雷を余裕を持って避ける。


 「来ると分かってるからね。当たらなければどうということはない」


 何か気に入ってるフレーズを永遠言うんだろうなという雰囲気をシリアスが塗り替えていく。


 「……強いな。本気でイカセテモラウ」


 来る?

第二形態的なの来る?

フリー○様のパターン来ちゃう?


 ワクワクしているとシャグァルの甲殻はヒビ割れ、脱皮の様に内側から金色に輝く滑らかな甲殻が見えた。


 「まさかのゴールデンフリー○!? いきなりそこいく!? まず頭伸びてその後ツルツルテンの可愛い奴にならなきゃ!! 君っ!! やり直し!!」


 何故かダメ出しされる魔王シャグァル。


 「何を言っているキサマ」


 (いやまぁわかるけどさ。虫でかっこいいのはピカピカ系の見た目だよね。しかも金色って完全にロマンだもん。わかる、んー、分かるけどさ!!)


 「なんかがっかりした。猛烈にがっかりした。普通さ、徐々に本気を出して第○形態とか偉そうに語りつつ、これが私の本気デスとか言って絶望感出すやつでしょ。53万からいきなりそこまで本気出す? もう先生怒ります。もうお遊びはこれまで」


 何故か激怒したヴァルトメア。

目が座り、内なる異常者サイコが顔を出す。


 「なんだ……そのスガタは」


 全身が漆黒。

ユラユラと燃える黒き焔。

周りの空気を燃やすでなく、吸い込む異形の姿。


 「君ごときにコレは勿体ないけど、久しぶりに闇ちゃんも闘いたいって言うからさ。じゃあ」
















 「行くよ」


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作者です。


白状します。

主人公はギャグ漫画キャラです。

たまにかっこつけますが。


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