第117話 ラテカ・ジョドウ
44回戦。
マーニVSラテカ・ジョドウ。
武王国の名門ジョドウ家の出身であるラテカは生まれた頃から武術の修行に明け暮れた。
祖父から強制的に日々修行をさせられ、飲食、就寝以外の時間を修行の時間とした。
祖父は元武王大会四位。
つまり元四天武であり、まさに豪傑。
開祖は武王であったとされる。
開祖が生み出した武術の名は、『重空術』。
重力を利用し、相手の重心を使い、動きを操作するかのような武術である。
更に、重力魔法という新たな魔法を開発した。
ジョドウ家は代々それを受け継ぐべく、最高の血を持つ『羅刹』とも交わった。
『羅刹』の血を色濃く受け継いだラテカは
大きな黒い眼を持ち、災厄の魔物の特徴である『黒魔の眼』を発現し、全ての生物の動きが最大限スローに知覚でき、全周囲を目測できるという特殊体質を持っていた。
与えられる負荷は人間の視覚的負荷を優に超えており、常に目隠しをしていないと脳がパンクする恐れがある。
しかしそれが『重空術』の重力操作と相乗効果を生み出し、ラテカという化け物を造り出した。
道着と目隠しという不思議な格好をしたラテカが闘技場へと歩いてきた。
✳︎
自分は今、最高に昂っている。
何故なら、予選にてエラーコードを叩き出したという今大会最強の一人と闘えるのだから。
武人としてこれ以上の楽しみはない。
例えこの闘いで死のうとも何の悔いも残らない事だろう。
祖父よりも父よりも圧倒的な強者の空気を感じる。
この獣人のお姉様のたわわな胸を借りて、チュパチュパ…じゃなくて…自分の精一杯の力を出すのみだ。
それにしても何て美しいお姉様なのだろう。
あの腰つき、可愛い尻尾、ウサ耳、キュートなお顔が何とも言えない。
あぁお姉様。
罪深いお姉様。
自分の心を盗む貴女は怪盗そのものだ。
審判こら。
勝手に死合開始するな。
いやこれは、死合ではなく、死ぬまで愛する事を誓い合った者の闘い。
まさに死愛。
目隠しを外し、貴女の全身を一挙手一投足を全て確認するからね。
物凄い踏み込みだ。
いきなりヤンチャだなぁ。
でも右上段蹴りかな。
重力を操作して、軽く躱す。
難なく攻撃を躱すラテカは次の動きもその眼で捉える。
次は左足で払い、回転しそのまま腹部へと蹴りを入れると。
払いを少しの動作で避けると、腹部への蹴りを後方へ下がり避ける。
全ての攻撃に重力魔法を使用し、負荷をかける事で減速させる。
可愛い尻尾が丸見えだ。
自分のお嫁さんにしてあげるからねマーニたん。
その可愛いお尻に自分の極太のナニをぶち込んであげる。
さて、次はどんな攻撃をしてくれるのかな?
エロティックなその小さなお尻を見せてくれ。
✳︎
マーニはなんだか気持ちの悪い感覚を覚えた。
相手を見ると表情は無く、眼球全てが黒く塗りつぶされていて、瞳の色だけが金色の特徴的な目でこちらの全身を観察している。
なんだかこいつだけは始末しないといけない気がするでありますデス。
本気の5%も出していないとは言え、全ての動きを見破り、身躱すラテカ。
なるほど、重力を利用しているのでありますデスか。
なら出力を上げるでありますデス。
10%。
先ほどの攻撃より疾く、そして強く。
これでも着いて来るラテカ。
12%。
冷や汗をかきはじめ、最小の動きからズレが生じ始める。
14%。
攻撃が当たり始め、全身が腫れ上がり、闘技場に体を打ちつけられ、痙攣し始めた。
16%。
痙攣しているが審判は割って入らない。
まだ戦闘不可能とは判定していないのだろうか。それとも鬼神の如く連撃に割って入る勇気がないだけなのか。
18%。
ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ打打打打打ダダダ打ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ打打打打打ダダダ打ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ打打打打打ダダダ打ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダ打打打打打ダダダ打ダダダダ!!!!
ラテカの体が蹴撃の連打により空中へと持ち上がり、そのままミンチへと変えられる。
しかし未だに連打は止まらない。
20%。
やっと連打が止まり、もはやハンバーグと化したラテカは闘技場に墜落する。
決着し、会場はドン引き。
圧倒的静寂の中、エロい目つきでマーニを見ていた男性諸君は股間をつねり、これまでの自分を戒めたのだった。
「ボクの事を好き放題しても良いのは
ハンバーグに指を指しながら宣言し、闘技場を去っていくマーニちゃんなのであった。
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作者です。
今日のご飯はハンバーグなのでありますデス。
チーズかけるでありますデス。
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