第109話 幕間:光と闇の旧神

 ヴァルトメアになる予定のマサトくんがこの世界へ転生する以前の話。


 異世界『フラワーデリア』がかつて、別の名で呼ばれていた時代。

 旧代の神がこの世界を創造し、世界にはまだ光が無く、故に闇すらも無かった時代。


 混沌の海。

それがこの世界が創造されたばかりの頃の名前。何も生まれず、ただそこには真っ白な世界がある。


 創造神はこの出来たばかりの世界を自分の玩具箱にしようと考えた。


 『世界は創造されたが寂しい世界だ。何か私の楽しみとなる存在を作るべきか』


 創造神は少し考えた。


 『まずは世界に光を生み出そう。そして光ばかりでは世界が焼け焦げてしまう。光と対となる『闇』を混沌の核を切り出し創造しよう。これで世界は混沌の海から抜け出せよう』


 混沌の海へと手を入れ、中心部にある混沌の核を持ち上げるとそれを握りつぶした。


 右手の握り拳を開くと、中には『闇』という概念が生まれた。


 そして創造神の爪へと『闇』が這い寄ると、中指の爪が漆黒へと変化する。


 黒く染まった爪が剥がれ落ちると、爪は姿形を変え、『闇の神』へと生まれ変わる。


 『盟主よ。我の対、光の神を創造しては頂けないか』


 創造神は、自身の額からとてつもなく輝く宝石を生み出すとそれを左手で握り潰す。


 粉々に潰された宝石は混沌の海に散りばめられるとそれを吸収し始めた。


 無数となった宝石は混沌の力を喰らい尽くし、『光の神』として生まれ変わる。


 『盟主よ、混沌の海は消え去りました。この世界に色を塗りましょう』


 創造神は白き世界のキャンパスに色んな色を塗り始めた。


 怒りは猛き焔、赤へと。

 哀しみは静かなる水、青へと。

 楽しさは疾き風、緑へと。

 喜びは不動の大地、黄へと。


 創造神の心から少しずつ感情と力を切り出し、その後も世界へと色を塗っていく。


 いつしか世界は華やかで艶やかで鮮やかな色を持ち、世界には生命が溢れる。


 時が経ち、世界に『人』という生命が誕生する。『人』は少しずつ形態を変え、其々に特徴を分け、進化していった。


 寿命はせいぜい百年程だが、繁殖期が長く、種の存続の為、沢山の子を産む人種。

身体的能力は最も劣るが、知恵がある。

無垢の種族『ヒューマン』。


 長寿で、精霊とも共生し、見目麗しい姿を持ち、森に愛されし人種。

緑の種族『エルフ』。


 背は低いが筋肉隆々で、大酒飲み。ガハハと笑う。火に愛されし人種。

赤の種族『ドワーフ』。


 その祖先は人魚と同じであり、陸へと上がったと言われている。多種族よりも能力は高く、残酷な一面も持つ。鋼の鱗を持つ鉄壁の人種。

黄の種族『竜人』。


 海底に国を築き、独自の生活を営む。

同じ種族でも外見的特徴も能力も異なる。

その水泳速度はどんな生き物よりも速い。

青の種族『人魚』。


 魔法の申し子と呼ばれ、魔力の扱いに長け、

神の御使いとも言われる。大きな翼を持つ。

白の種族『天使』。


 体のあちこちに魔物の特徴を持ち、圧倒的な戦闘力を誇る。個の能力は多種族の中でも随一であり、天賦の才を持つ。性格は優しく穏やかだが…。絶滅したとされている。

黒の種族『羅刹』。


 他にも獣人やピクシーなど多様な種族が生まれた。


 世界は繁栄を約束されたかの様な隆盛を極めた。幾年月が経過すると、種族間で争いが起き始める。


 繁栄したが故の傲慢と多種族への嫉妬、更に栄えたいという強欲、全てを喰らいつくさんとする欲は豚が餌を欲しがるかの様に。


 見目麗しいエルフへの色欲も。

 心の成長を諦めた怠惰も。


 それが失われたはずの創造神の心に













 

 新しき憤怒を生んだ。










 世界は一週間、万の雷が落ち続け、地を抉るほどの豪雨に見舞われた。


 洪水は国を飲み込み、森を破壊し、大地を沈めた。


 光の神と闇の神は嘆き悲しんだ。

せっかく混沌から色鮮やかな世界が生まれたというのに。

このままでは再び混沌の世界へと戻ってしまう。


 創造神は憤怒の感情だけが残り、未だにその超常的な力を振い続けている。


 このままでは世界は創造神により、破壊し尽くされ、終焉を迎えるだろう。


 二柱は世界に存在する莫大なあらゆる力を神気へと変換し、創造神を宇宙の彼方へと封印した。いや封印する事がやっとであった。


 創造神なき世界に繁栄はあり得ない。

今はまだ世界には創造神の力が龍脈を通り、世界へ流れている。

だがそれもいつまで保つかは分からない。


 それに光と闇の神は力を使い果たし、しばらくすると消滅することは理解していた。


 新しき創造神を創ろう。

万物の王となり、この世界を作り変えられる程の力を持つ新しき希望を。


 二柱の神は存在が消滅する前に融合し、その存在となれる者を異世界『地球』で探す事にした。



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はいどうも作者です。

今回はこの世界の記憶の様な話でした。

マサトくんが何故選ばれたのかは謎のまま

また次の機会にでもね。

創造神の存在はヴァルトメアとしては気に食わない奴らの一人です。

光属性と闇属性を司る神々は合体しましたね。

神って合体出来るんだ初知りへぇー。


なんでもありなのが神話の良い所。

クトゥルフ神話とか凄いもん。

インドの神話なんてもうめちゃくちゃ。

ヴァルトメアは両方取りしてるんですけどね。


以上、作者からでした。


P.S. 5欲しい

新作公開しました。

今回も最初から最強、ざまぁ、イケメンエルフ、容赦なしと私好みの作品です。

もしかするとハーレムもあるかもしれません。

タグ変えてたら話の流れ的にそうなったと思っていただければ幸いです。

お手隙の際に読んで頂ければと。

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