第108話 反省会part3

 はい俺くんです。

と言っても分体であって本体は武王国へと侵略中でありまーす。


 てことで今回やる事はじゃじゃーん。

エルフちゃん達の心と体の回復を優先して、次いで、お馬鹿ちゃん達へのお仕置き。


 そんでもって最後には帝国から強奪してきた国宝を使って天空樹のシステムを組み上げて行きます。


 ではまずエルフちゃん達からね。


 あらまぁそんなに怯えちゃって可哀想に…。


 どんな生活をしたらこうなるか実験しよ…じゃなくて…帝国の奴等め可哀想じゃないのよ!!


 もう怒るからね!

俺くん怒らせたら怖いからね?


 滅亡した帝国へと怒り心頭のフリをするヴァルトメア。


 じゃなくて、まずは体の回復から。


 ざっと人数は…一万人。多すぎよほんと。どんだけ攫われてんのよ。


 てかどんだけ攫ってんのよ。


 やっぱ潰して正解だねぇ。


 ってそんな事は良いのよね。


 まずは神光属性第十位階魔法

超快回復エクストラヒール』を使います。


 みるみると身体中の痣は消え、切り傷、恐らく軽いおふざけで火で炙られたのだろう火傷も

四肢欠損も目や耳の失った子達も全回復。


 厄介なのは心の方。

魔法じゃ完全には治らないからね。

正しく言うと治るんだけど、彼女達が俺くんの魔力に耐えられるならって話。


 壊れるんだよね。

心を治す為の魔法の位階は『第二十』。

人類では決して到達出来ない境地なのよ。


 んー。

耐えられるとしたらユフィちゃんみたいな使徒くらい。


 ん?使徒くらい?

使徒にすればよくね?


 ということで攫われたエルフ、ダークエルフみんな使徒にしました。簡単な事です。

願えばよいのです。救済とは願いから始まるのです。祈りなさい。ザ…じゃなくてアーメン。


 ということで使徒にして魔力耐性をグーンと上げてドーピングした所を俺くんの魔法注入〜。


 『慈愛と安寧の天鈴てんりん

・対象の精神を安定させ、過去のトラウマや悪い記憶を消去する。

活力が湧き上がり、ついでに腸内菌、ホルモンバランスも整えてくれる。

 

 これの何が魔法的コストかって、対象者の記憶を全て洗い出して、嫌な記憶だけを消去するのにリソースが取られる。


 膨大な演算処理と魔法をその間、継続させる魔力も必要ってこと。


 複雑な組織である脳を弄るのは中々骨が折れるのよ。壊すのは簡単だけどね。


 まぁ人間には無理。

それに人間の気持ちとしては、嫌な事も忘れずに生き抜くとか負けたくないとかあるかもだけど俺くんには分からないからそれ。


魔法の効果が終わり目覚めるエルフ達。


 自分の手を見る。

あれだけ傷があった体が綺麗な体に生まれ変わったかのようだった。


 涙が頬を伝う。


 抱き合って無事である事への安堵と

奴隷から解放された事への希望が彼女達を包み込む。そして思い出したくもない記憶からの脱却も彼女達には幸せの一つなのかもしれない。


 よかったね。

これで一安心だね。

感動だね!!








 じゃあ次行ってみよーっ!!








 エンデ城、謁見の間。

呼び出されたのは、マルコキアス、サマエル。


 「はい、ふたりとも何で呼び出されたか分かるかい?」


 んー、と首を捻り考える狼のマルコ。


 「ご褒美タイム?」


 マルコの頭にチョップを入れるヴァルトメア。


 いでっ。と言う声をあげ、目がバッテンになるマルコくん。


 「違うでしょ。サマくんは分かるかい?」


 尻尾の先をクルクルと周しながら思考の海へと落ちていく。目が開き、閃いたとばかりのドヤ顔。


 「ご褒美タイム?」


 「いやだから違うって。それにキャラ忘れてるからね。シュルルルってやつ」


 「あっ。シュルルル」


 「いやもう遅いからねサマくん。はい、時間切れ。懲罰レベルが1上がりました。と言う事で皆さんお待ちかねの『お仕置きタイム』でした」


 「「え?」」


 「いや、え?じゃないから。君たち帝国へ侵略に成功したのは良いけど、生えてた植物ちゃん達殺っちゃったよね? 見てたからね先生。ぜーんぶ見てました」


 「あの…ヴァル様…先生って何ですか?」


 「いやもうそこ気にしなくていいからね?? ノリだからね? んーもう分っかんないかなぁ」


 「ノリ…なるほど」


 「それに本体に聞いたけど、武闘会で本気出すなって言われたのに本気出したよね? あれはギルティだよ?」


 「「ギルティ!?」」


 「あ、あのヴァル先生、僕たちへのお仕置きって何ですか?」


 「ふっふっふ。それはね」


 ヴァルトメアの目が妖しく光る。


 掌から種子が生まれる。

オリジナル植物シリーズ、悪魔の瘙痒そうよう

魔瘙仙人掌まそうさぼてん』。


 ヴァルトメアは種子を放り投げる。

マルコとサマエルの前には二つの大きなサボテンが育つ。


 緑色の何の変哲もないサボテン。

針は千本以上あるのは確かだが、これといって変化が現れない。


 「シュルルル。主人様、これが今回のお仕置きでしょうか」

 

 「そうだよ。結構恐ろしい植物だよ。あっ、ほらほら、そろそろ来るよ」


 パキパキパキッと音を立てて、サボテンが割れていく。中から粉が吹き出てくる。


 ファっと宙を舞い、花粉の様に風に乗る。

粉はサマエルとマルコに付着すると二柱とも、体をビクンビクンと震えさせる。


 「か、か、痒い痒い痒い!!! やめて、やめ、痒いよぉおおおお!! 目も鼻の中も耳の中もぉおお!!」


 「シュル!? 毒すら効かない我がぁああ!! 痒みとはこれほどのぉおおお!! 地獄を見せるのかぁああ!! 流石は主人様ぁああああ!!!!」


 二柱は一時間、全身の耐え難い痒みと戦い、ヴァルトメアが解除した後、地面へと倒れ込んだ。


 「植物は大事にだよ? 分かったかい?」


 「「先生、ごめんなさい」」


       

           ✳︎


 エルフもダークエルフもかなりの人口になったねと独り言を呟くヴァルトメア。


 念話で元エルフィアの女王であるニンフィを部屋へと呼ぶ。


 「お待たせして申し訳ありませんわ。主人様」

 

 「大して待ってないよ。エルフちゃんやダークエルフちゃんの活躍もあって、無事攫われた子達が戻ってきたけれど、彼女達が住む為の土地がないのよね。樹海を切り拓けば良いんだけど植物ちゃん可哀想だもん。何か良い案ない?」


 顎に手を当て思案するニンフィ。


 「あの、それなら思い切って」


 指を空へと向ける。


 「エンデの上空に都市を造るのはどうでしょう」


 「それだ!!」


 数時間後。


 「ユフィちゃん。確か帝国の宝物庫に侵入したって言ってたよね? 国宝とか持ってきちゃったりする?」


 「え? いーっぱい持ってきましたよぉ。『異空無限庫』に沢山入れてますよ旦那様♡」


 使徒だけにスキルを共有させることが出来る。その一つが『異空無限庫』である。


 「どれどれ。これはこれは中々使えそうな魔道具があるじゃないの」


場面変わり、樹海の中央。


 ニンフィ、リリデル、ユーフィア、マルコ、サマエル、スイくん、ヘルちゃん、ジュピちゃんが見物人としてやって来た。


 「この秘宝の名前は『魔力原動式昇降機』。詰まる所、エレベーターだね」


 「えれべぇたぁー? って何ですか旦那様」


 可愛い顔でキョトンとするユフィちゃん。


 「あー、この魔道具に乗るとその場の縦方向へと昇り降り出来る魔道具さ。それだけの機能しかないから宝物庫で長い間眠ってたんだろうね」


 「転移したらいいではないですか」


 キョトン顔のリリデルちゃん。


 「君ら使徒はね。使うのは使徒じゃない子。まだ全員が使徒になりたい訳ではないからね。特に小さな子供はね」


 あぁ成程と納得する一同。


 「これを俺くんオリジナル植物『天空樹』へと備え付ける。まずは天空樹からだね。本体には許可も貰ってあるし早速やるよ」


 かなり大きな種子を生み出す分体。

それを地面へと放ると、ムクムクっと芽が出て一気に遥か上空へと伸びていく。


 極めて太くて立派なイチモ…樹が目の前に。


 あっという間に、育ち切ると天空樹の上部には広大なスペースが出来ていた。


 転移する一同。


 「ここに城を作り、我らの都市を作り直そう。さぁ大忙しだねぇ。戦は本体に任せて、俺くん達はレッツクラフトぉおー!」


 「おぉーーー!!」



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 どうも作者のミセスグリーンパイナップルです。


 ということでねクラフト系物語もやりたいですな。便利系植物とかドラえ○ん的な植物とか多いのでそっち系の能力を活かしつつですね。


 天空樹も読者さんからアイデア頂いて書いてみました。


 基本、城には神々が住み、街には使徒、使徒も階級でも作ろうと思いますね。

下界にはなりたての使徒や普通のエルフ達が住んでいます。


 みなさんいつも読んでいただきありがとうございます。胃腸風邪には充分気をつけてくださいね。あれはキツイ。

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