第107話 帝国編エピ(ゲ)ローグ
帝国首都を含む、広大な領土。
周囲の国を侵略し栄華を極めた大帝国は
1日にして滅びを迎えた。
後日、ある国から小規模の商団が物資を運んで帝国領へと足を踏み入れた。
遠くから異様な光景が目に入ったが
これまでの人生において、経験した事の無い光景だっただけに何が起こっているのかは目の前にしないと理解が出来ない。
近づくにつれ理解不能な状況。
あれだけ賑わい、華やかで、世界の商業の中心といっても過言ではない程の物流、経済力は欠片も残っていない。
前回来てからどれくらいだ?
と考えた商団長は、一月も経過していないかと一人言を発した。
瓦礫と謎の枯れた植物が帝都を荒らしている。崩れかけの帝都の門をくぐり、どんどん奥へと向かう。
「ここは…たしか…奴隷商の店だったはず」
奴隷商が運営するエルフやダークエルフが主だった商品の店。
「中は真っ暗で何も見えんな。おーいチャックー!! 灯火の魔導器を持ってきてくれー!」
「へーい旦那様ぁ」
その後、灯りを頼りに地下へと進んでいく。
そこにはいくつもの牢屋があり、血痕が所々に滲んでいる。全ての牢屋は開け放たれ、すべからく奴隷達はとっくに逃げ出していた。
「一体…何が起こっていた!!!? ひぃっ!!」
牢屋の最奥。
頭には複数の矢が刺さり、目は潰れ、身体中にも矢が刺さっている、いや、刺さり過ぎている。
奴隷商人が壁に
その後も帝都内の探索は続いた。
明らかに毒々しい色をした領域には近づく事さえせず、未だ燃え続ける白き火焔、足を踏み入れた瞬間に凍死しそうな氷土。
最後に城へと向かう。
「何だあの人型の植物は…」
二体の人型植物。
城を守るために存在したであろうそれらは、今やただの植物人間となった。
「おいおい、何が起こったんだ。城下も地獄、城内も地獄ってことかぁー?」
少し楽しくなってきた商団長。
そこら中を旅をするだけあって肝が座っているのかもしれない。
廊下には守衛の二人と同じ運命を辿っている兵隊があちらこちらに散見し、メイド達の体には穴がいくつも空いている。(下ネタじゃない)
「人っ子一人もいねぇな。チャーーック!! ラブロスの奴を呼んでこい!!」
「へーい旦那様ぁ」
城下で危険区域以外を探索していたラブロスが呼ばれて登場した。
「なんすか旦那ぁ。」
「おう、ラブロス来たか。お前確か写真の魔導器を持ってきてたな? 全部撮っておけ。後から必要になるかもしれん」
「はいよ旦那。でも気持ち悪いすね。誰がこんな事ぉやったんすかねぇ?」
「さぁな? でも確か、新しく国を興したトコがあったなぁ? 確かエンデつったか? あそこは元々樹海だ。これだけ木が生えてりゃ一番怪しいのはあの国だろうな。あそこの森の精霊を従魔にしたとかな」
「流石すね。『商人は情報と信用が命』がモットーの旦那らしいすね。勉強になりやす」
三人は足を進めると開け放たれた部屋が見えた。
中を見ると、王室のようだ。
豪華絢爛、金や希少な素材で作られた物の数々。これだけで商団運営費、何十年分の金銭になるだろう。
がしかし、違和感を感じる。
部屋へ入り目を凝らす。
「これは…血液?」
黒く酸化した血液が赤い絨毯に染み付いている。よく見ると至る所に血が飛んでいる。
天井からも血液が染みている。
「旦那ぁ、な、何すかねこの惨状は、オエッオロッ」
「戦闘の跡だろう。天井のは傷を見る限り、皇族の暗部の死体が天井の裏にあるはずだ。いずれにしても樹国は、こと戦闘においてはレベルが違うってことだ」
「オエッ。なるほどすね。じゃあその皇族はどこにいるんすかね。オウッ」
更に探索を続ける。
次々に見つかる皇族の屍体。
皇后、皇女、皇太子に皇子、噂では一癖も二癖もあるらしい方々が最期は惨めな姿で亡くなっている。
共通するのは
植物に寄生されているということ。
「最後はここだ。謁見の間」
「っ!!? 嫌な予感がするっす。全力でゲロを吐く準備をしとくっす」
「いや、写真の準備をしとけ?」
扉を開けると、グロテスクな光景が強烈なインパクトを脳へと焼き付ける。
「オロロロロロロッ」
「うわっ!きったねぇ!! まぁ…吐くわなコレは。でも写真は撮っておけ?」
「オエッ。あいっ」
カシャっ!!
「いやそれお前のゲロ撮ってんじゃねぇか!!」
「流石ラブロス兄ぃ」
「間違えたっす。でも需要はあるっす。一部のマニアに女性のゲロの写真だって売れば高く売れるっす」
「やめとけ? 商人として。俺はお前をゲロ商人として育てた覚えは無いぞ。ほら良いからゲロ撮っとけ」
「はいな」
カシャっ!
「だからそれゲロだって」
「だって旦那がゲロ撮っておけって」
「流石ラブロス兄ぃ」
「間違えましたごめんなさい。この凄惨な光景を撮っておいてくださいお願いします」
その後も気分を紛らわしながら探索を続けた三人は、探索を終え外に出る。
「エグかったな。血の臭いに腐臭は強烈だ」
「何か酸っぱい臭いもしたっすね」
「いやそれはお前のゲロのせいだからね」
「流石ラゲロス兄ぃ」
「………」
商団がこの地を去ると、枯れた植物は粉となり、寄生された人々も砂へと帰る。
荒れに荒れた土地は、幹部達がアフターケアの為に込めた神気により豊穣の土地へと変わる。
そこから植物の芽がピョコピョコと出ると、新緑の地へと好転してゆく兆しが見える。
商団の彼等は知らなかった。
とある教会の地下や酒場の地下に人間の奴隷が隠れていたのを。
「やっと外に出られる。行こう。皆で力を合わせて」
ボロボロの服を着た老若男女は、民家から財産になり得る物や服、武器や魔導器、食物を見つけるとそれを持ち、難民となって他国へと向かう。
そこで幸せに暮らせるかは彼ら次第。
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どうも作者でございまぁああす。
さーて来週のサザ○さんはー?
ヴァルトメアです。
幹部のサマエルくんとマルコキアスくんが俺くんの言うことを聞いてくれません。
いや〜、こんな時どうしたら良いのでしょう。
さて次回は
マス○さんのエルフダークエルフ心身回復性技
タラ○ゃんのサマエルとマルコお仕置き術
ノリ○ケ天空樹の育成をする
の3本です。
来週もまた見てくださいね。
ジャンケンポンうふふふふふ。
あー、下呂温泉行きたい。
水明館だっけ。
あそこ。
みんなのあそこ行った方がいいよって場所があればコメントで教えてください。
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