第103話 幕間:魔導国ザウバー

 魔の深淵を覗く為に研究と実験を繰り返す異端の国『ザウバー』。

魔導の礎となれるなら自身の命さえ差し出し、その進歩に貢献しようとする異常者の集まり。


 だがその歴史の積み重ねもあり、世界的に彼らが製作した魔道具、魔導器などの機器は人間や亜人に大いなる文化的な成長を促した。


 魔導機、魔導器と呼ばれる物は、見た目が機械的であり、ミスリルや鉄、銅などの金属が使われている物である。


 地球で例えるならば、車や自転車、ドローンや飛行機、スマホやパソコンなどの複雑な作りの物は魔導機と呼ばれる。


 簡易的な物は魔導器であり、戦争で帝国兵が使っていた鎧や剣はただ付与された術式を読み込むだけの簡単な命令が行使されるだけの物であり、このように分類される。


 魔導機である魔導馬車という魔力や魔石をエネルギー源とした移動手段は、効率的に商業が出来る様になる最高の発明品であり、経済力の急速的な強化を生み出した。


 他にも魔導ドローンや魔導カメラ、魔導モニターなどの地球でいう情報媒体にもなり、ここから研究次第では戦争にも使えるのではないかと言われている。


 対して魔道具は、見た目が機械的では無く、古の時代より存在する魔法を使える様にするマジックスクロールや魔法の威力を上げる為の魔道杖などのダンジョンから発掘された物を総称して呼ばれる。


 イメージとして、魔導系は人工物であり、魔道系は自然物である。


 そんな魔道具が発掘される場所であるダンジョン。

 世界に点在するダンジョンは二百を超え、未だに増え続けている。階層数、出現する魔物の強さなどそれらを加味した危険度を冒険者ギルドが設定し、冒険者のランクに合わせて攻略させている。


 何故ダンジョンが現れるのかは、ザウバーも研究しているが未だに確証が掴めない。


 魔道具は等級が分かれており、かつて神の力を持っていたとされる剣もダンジョン産であり、上から順に神級〉幻想級〉伝説級〉超絶級〉超級〉上級〉中級〉下級〉無価値とされる。


 魔導機は上級以上の魔道具を模倣して製作されており、魔法師や魔法研究者は日夜魔道具の研究に余念が無い。


 魔導国ザウバーとは、魔法のみならず、魔導機、魔導器、魔道具、魔物、そして超常たる存在の研究を主だった活動とし、それを商業化している国である。


          ✳︎


 魔導国、首都『ゼウシア』。

その国のトップは大賢者『マーリン』。

次いで、七人の賢者が存在する。


 彼らは色で分けられ、赤、青、黄、茶、緑、白、黒で其々、火、水、雷、土、風、光、闇を司る。


 魔導塔という研究施設が建てられており、彼等はその施設の長でもあり、弟子を抱える師匠でもある。


 魔法の最先端が魔導国ザウバーである。


 魔導城。

大賢者マーリンを国王とし、七人の賢者が支える。そんな彼らが一同に集う。


 「マーリン様、先日情報収集の為に飛ばした魔導ドローンが録画した映像です。信じられない光景が…」


 「ふむふむ。後で確認してみるかの。面白い事が起こってそうじゃ」


 「何じゃこれは…。急ぎ七賢者を呼ぶのじゃ!!」


 それぞれの塔から賢者が城へと招かれる。


 「何ですかい大賢者マーリン。魔道具の研究が丁度面白い良い所だったんですがねぇ。野暮用程度だったら一生恋人が出来ない魔法をアンタにかけますよ」


 「何その恐ろしさ満点の魔法!? 闇属性の魔法にそんな魔法あったかの!? いやいや、良いではないかゼクト坊。偶には良いでは無いか、その可愛い顔を見せにきてもの」


 闇属性魔法の魔導塔、【黒馬塔こくばとう】の長『ゼクト』。

黒髪黒目のイケメンであり、顔には魔導印と呼ばれる自身の魔法力を上げる効果のある刺青が彫られている。


 「こらゼクト!! マーリン様にそんな失礼な事言って駄目でしょっ!! 申し訳ありませんマーリン様、愚弟は後から叱っておきますのでどうかお許しください」


 光属性魔法の魔導塔、【白蛇塔はくじゃとう】の長『ノーマ』。

金髪金眼の美女で、顔良し、スタイル良し、頭良し、強さ良しのスーパーウーマン。


 「へっ。姉上にもかけてあげましょうか非モテ属性魔ほ…」


 ゼクトの顔面に拳がめり込む。

やったのは勿論、姉であるノーマ。


 「ぐべらっ!! 痛いじゃないか!! しかも普通魔法使いがグーで殴る!?」


 頬を手でスリスリしながら姉に中指を立てる。


 「アンタが悪いのよゼクト。私はそんな魔法かけられた所でモテるのよ。今は敢えて結婚していないだけで、決して倦厭けんえんされて結婚出来ない訳じゃないのよ」


 大きな胸を張りながらドヤ顔で答えるノーマ。


 「嘘つけー!! オイラ知ってんだぞ!! 強すぎて男が寄って来ないってことをな!!! マーリン様と同じ扱いなんだよ!!!」


 マーリンとノーマの目が紅く光る。


 「「うるせーっ!! ゼクト(坊)ー!!」」


 二人の拳が左右の頬にめり込む。


 ゼクトはそのまま帰らぬ人…ではなく気絶した。


 「よし、うるさいのが寝ている内に大事な情報を伝える。先日の建国宣言をした新たなる国、樹国エンデについてじゃ」


 ドローンからデータを抜き出し、魔導モニターへと映し出された光景に賢者達の顔色が変わる。










 「樹国エンデ、彼等とは決して争ってはいけぬ。国王としての命令じゃ」


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作者です。

皆さんいつも見ていただきありがとうございます♪

応援コメントやイイね、ギフトもこんな私にくださる方もいらっしゃって、大変嬉しく思いますし励みになります!!


 話はかわりますが、悪役貴族に転生系って面白いですよね。

LINE漫画やピッコマの韓国漫画もアツいし、日本のラノベも面白いなって思います。

どちらも悪役貴族転生系はありますからね。


 私は主人公にはある程度残虐性は必須で、生優しさって不要だと思ってる人なんですよね。


 この話も主人公が最初は魔物であり、のちに神様になっていますけど、神話でも悪魔や人間より神様の方が人を殺めてるんですよね。


 もしかしたらノアの方舟の様に選ばれた者だけが救われて、他の堕落した人間は絶滅し、今生きている人間は選ばれた者の子孫だったり?

みたいな事も考えると面白いなって思います。


 多分、一番自己中心的で異常者なのって神様なんですよ。ただそれは人間から見た感想であって神様からしたらそれが普通で、図工の授業で紙粘土で作った作品を叩き潰す感情と似てるのかもしれないですね。

名作なら大事にするけどね。


 こんな事を日々考えていると、この作品もより神様視点の物語になってくれるのではないかと思います。


 それでは皆さん、体調にはくれぐれもお気をつけくださいね!


ではまた。

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