第102話 絶滅カウントダウン-3
冒険者ギルドは全世界に支部を持ち、その規模、組織としての力は国を凌駕する場合もある。
冒険者はランクで分けられている。
まず頂点に座するは規格外とされるZ級。
かつて一人だけ存在したとされ、神の力を宿した剣を使用し、神すらも屠ったという伝説がある。現在では迷信に近い話で、冒険者ギルドが冒険者を募る為のフィクションではないかと思われている。一説では冒険者ギルドの創設者がそうだったのではないかと言われている。
続いてSSS級。
かつての伝説の勇者であるクラトスがこのランクであったとされる。並ぶ者が存在せず、レベルも2000を超える。剣を振るえば大気が割れ、龍王と比肩する程の力を持つとされる。現在ではこのランクの人間は一人もいない。
SS級。
超越者の中でも選ばれた者だけが辿り着けるとされるランク。レベルは1000を超え、一人で国を救い、そして滅ぼす事が出来る強さを持つ。
現在では三人だけ存在し、そこらの国の国王も丁重に扱う存在。
S級。
この領域の冒険者は
※超越者は戦闘力10万を超えた者。
A級。
冒険者ギルドではエリートとされるランクであり、天才が努力をして辿り着けることができるのがここまでとされる。
どこの国の上級貴族とも対等となり、場合によっては王族の仲間入り(婚姻など)する事もある。レベルは500を超え、ギルド貢献度もトップで且つ、5名以上のギルド長の承認が無いと昇格する事が出来ない。
B級以下。
E級から始まり、昇格試験を経て、且つ、レベル測定器にて合格レベルに達した者が昇格していく。D級から冒険者として食べていくことが出来る収入を得る。
帝国十二聖将の一人である『死槍』の二つ名を持つ男、アイヴァン・ランサーは元々は冒険者だった。
ランクはS級であり、SS級冒険者を師に持つ。
師の名前は『ガイアス・ランサー』。
『神槍』の二つ名を持ち、某国の上級貴族であるランサー公爵家の長である。
家督を継ぐ為に冒険者は引退したが、齢60を超えるが年齢に見合わない強靭な肉体を保っている。
アイヴァン・ランサーの父である。
そんな英雄である父の下で幼少期から英才教育を行われてきたアイヴァンはその天性の才も併さり、誰よりも早くS級冒険者への階段を駆け上って行った。史上最年少S級冒険者、次代のSS級冒険者とされ、もしかするとSSS級冒険者も夢ではないと噂され始めた頃に大帝国シュテリケから引き抜かれ、現在に至る。
アイヴァンが帝国十二聖将となった理由。
それは強そうな奴等が居そうだったから。
それは同じ聖将のみならず大国だからこそ名も知らない達人が居ると考えたからだ。
アイヴァンの思惑通り、沢山の達人と出会った。武術の達人、魔法の達人のみならず、圧倒的な身体能力を有する者、チートなスキルを持っている者、全てを倒してきた。
完膚無きまでに倒し、技を吸収し、殺してきた。
それが『死槍』の名を冠する事になる要因となった。
帝国十二聖将の中でも特に危険人物。
今日もその紫色の長い髪を揺らし、狂気の眼光で獲物を探し歩く獣は、変わった敵を見つけた。
✳︎
「そこにいるのはスライムさんですか。何故この様な所にいるのか不思議でなりませんねぇ。はぁ。雑魚モンスターなど殺しても面白くも何とも無い。ですが皇帝陛下の命令には逆らえません。苦しむことなく死になさい」
圧倒的な速度で刺突を繰り出す。
それだけでスライムは木っ端微塵に吹き飛び、監視業務に戻るはずだった。
柔らかそうな水色のボディ。
全力とは言わないまでもある程度は本気を出した一突きはまるで大海原を突いたかの様に重く、全然通じない。
自分の攻撃がちっぽけなモノに感じた。
「あなたは一体何者ですか!?」
水色のスライムは形を変え、人型となる。
レインコートを着た子供となり、それを見たアイヴァンは警戒心を一気に高めた。
「なるほど。ただのスライムでは無さそうですね。タイミング的に樹国とやらの刺客ですか。その覇気は私が戦うに相応しいものですね」
「価値無し。価値無し」
「価値無し? それはどういう…意味でしょうかっ!!!!」
その言葉を放つと同時に渾身の突きを浴びせる。先ほどとは雲泥の差の一撃。高速回転させた槍はアルくんの心臓目掛けて放たれた。
突き刺さるが水面に波がさざめく様に揺れるだけ。海をモリで突いても意味を持たない。
「ほら価値ない。井の中の蛙。大海を知らず。知らず」
飛び退き、再び槍を構える。
「ふんっ。ただの突きですよ。本番はここから。必殺の槍術をご覧あれ」
魔力と闘気を練り、槍と身体へと纏わせる。
その練度はやはり天才の領域を超え、弱き者が見たならば直感的に死を連想させるほどだ。
黒い魔力が槍から立ち昇る。
「この技を見て生き延びた者は居ません」
莫大な魔力が槍にまとわりつく。
「黒死槍術『死竜』」
放たれた黒き竜は周囲に居る帝国兵、市民を次々と食い殺す。その度に大きく強くなっていく。
「くはははは!! 食い殺された命の数だけ強くなる。ただの魔物には勿体無い一撃ですよぉ!! さぁ死になさいっ!!!」
死竜が顎を開き、アルくんを噛み殺そうと迫ってくる。
死竜が突如動きを止める。
魔力と闘気、そして人々の魂から造られた黒き竜が凍り付いている。
「水聖属性第十三位階魔法『霜之巨腕』」
死という概念をも凍らせる氷の右腕に死竜は掴まれ、あまりの冷気に凍り付き、握り潰された。
「ば、ばかな。そんな、ありえないっ!!」
氷の右腕はそのまま驚愕により動きを止めたアイヴァンを掴んだ。
一瞬で氷漬けになり、己の技と同じ運命を辿った。
「弱い。弱い」
狼狽える帝国兵。
その後、アルくんの水聖属性魔法の
『
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