第86話 VSアナンタ-2
心地いい?
私の毒が?意味がわからない。なぜ笑っていられる?なぜ生きていられる?何故?何故?
私よ落ち着きなさい。
私は無限を司るスキルを持っている。
永遠の命を。
無際限之理
・HPが尽きても生き返る事が出来る。
また魔力も無限となる。
奴の攻撃でこの命が尽きても生き返る。
『永遠回帰』を使えば、輪廻転生し、別の生物となることもできる。
不安はない。
今できる事は奴の力を見極めること。
持久戦なら得意。大丈夫。私なら倒せる。
「もういいね。君さぁ死ななければ大丈夫とか私は死なないとか思ってない?それがそもそも間違いなんだよね。」
惑わされるな。
戯言に付き合って好機を見逃してはだめ。
「オリジナル植物『寄生・
口をパクパクとさせる痩せ細った口だけが存在する人面樹がこちらに伸びてくる。毒や魔法を放つが全て喰ってしまい、なす術がない。
私の巨大な体があっという間に樹に覆い尽くされ、神気や魔力が吸い尽くされていく。
ドクンドクンと波打つ樹は、痩せていた幹をどんどん太く逞しく成長させていく。
対照的に私は力が失われていくのを感じる。
あぁ。樹が私の体を突き破る。痛い。苦しい。
HPがゼロになった。
しかし、スキルが発動し、満タンに戻る。
また吸われていく。
このままならいっそ『永遠回帰』を使って、一からやり直そう。
『永遠回帰』を発動しようとした。
「逃がさないよ。君のそのスキルは俺くんの『輪廻支配』スキルで無効化しちゃうから。まぁそこに飛んでいる羽虫で良ければ許可するけど?」
最悪。
何故こんなイレギュラーがこの世界に存在してしまったのか。
このまま私はどうなってしまうのだろう。
無限の命なんて不幸だ。
あの方に会って、共に生きてさえいれば良かったのに。
娯楽のためにこんなことになるなんて。
私はなんて馬鹿なんだ。
成長した樹は竜王城の屋根を突き破り、私の体ごと空へと伸びていった。
意識はここで失い、この先私の体がどのように奴に利用されるのか。
もはや考えたくもなかった。考える気力も無くなっていた。
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はい俺くんです。
巨大蛇ちゃんとの闘いは余裕で勝利。
城を突き抜けた植物ちゃん。
外に出るとムートくんがこちらを見た。
「ムートくん楽しんでたからつい我慢出来なくてね。本当はやりたくなかったんだけど、様子見がてら…やっちゃった。」
ムートくんそんな顔しないで。
いや分かってる。俺くんだってやりたくてやった訳じゃないんだ。
楽しめるかなぁって思ってやったんだ。
ん?それってやりたくてやったってことか。
「とりあえずムートくん、渡したいものもあるし、こっちに来てよ。」
シュババッと移動してこちらに来るムートくん。
「ヴァルトメア様、派手にやりましたね。こいつが守護龍ですか?」
少し興味深そうに寄生されたアナンタを見るムートくん。
「そうそう。中々の実力者だと思うよ。まぁ俺くんの敵じゃないけどね。あっ、そうそう渡したい物ってのはこの植物の種と後から蛇が二匹来るから君のスキルで吸収しちゃってよ。」
「ありがとうございます。あとは、この国のケジメは俺がやります。ヴァルトメア様はお休みになられてください。」
「ありがとん。そうそう、さっきの植物でこの国の竜人は君の好きなようにしていいから。勿論、竜王もね♪説明はいつもの念話でね。」
「何から何まで。感謝に堪えません。」
「じゃあ後は任せたよ。俺くんは分体だからこのまま消えるかな。またねぇ。」
「はい!お任せください!」
ヴァルトメアが転移でこの場から去ると、ムートは自分のかけた魔法を解除し、植物の種をまく。
ムートの魔法で生きる気力が失われた竜人に更なる仕打ちが待っている。
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