第74話 Battle of Gods(6)
一回戦の全試合が終わり、準々決勝は
アポリュオンVSタルタロス。
ルシファーVSフィルギャ。
マーニVSエーデルムート。
そして準決勝は謎の男が参戦する事を彼等はまだ知らない。
「相手は誰だろうねぇ。そろそろ仮面の用意をしなきゃ。あー、楽しみだねぇ。」
変幻自在に姿を変えられるが、わざわざ仮面の男として出場しようとする謎の男はいそいそと自分の部屋へと移動したのだった。
「んーこれとこれを着て、さぁ完璧だ。誰も俺くんてわかんないだろ。仮面の貴公子って感じでかっこいいなぁ。変幻しても良いけど、やっぱり変装の美学としてはやってはいけないからねぇ。」
独り言を呟きながら、自室の姿鏡でチェックをする。
魔法で自分の分身体を作り、武闘場へと向かわせる。もちろん司会として。
「みんな俺くんが闘士として出るなんて思わないだろう。ふふ。楽しみになってきた。」
そして、刻が来た。
準々決勝、一試合目。
アポリュオンVSタルタロスは
アポリュオンの破壊の権能をタルタロスが耐え続ける。
その後も攻め続けるアポリュオンだったが、タルタロスの絶対防御を崩すまでは行かず、耐え続けた末、ここでタルタロスのとっておきのスキルが解放される。
『堅忍不抜の解放』
・10分間攻撃を耐え続けると発動できる。
敵からの攻撃回数、威力をそのまま返すスキル。
このスキルは『不動無欠の掟』とは最高の相性である。倒すにはタルタロスのHPを0にするしかないが、まずタルタロスの防御力の10倍もの攻撃力を有する者はヴァルトメアのみである。
もちろん、『不動無欠の掟』にも対処法はあるが、アポリュオンが気づく訳もなく、ただひたすらに脳筋戦法を取った挙句、自身の攻撃全てが後々跳ね返され、結果、神木は破壊された。
二試合目、ルシファーVSフィルギャ。
まずフィルギャは『愚者之道化神』でルシファーに変身する。
魔法をコピーし、ルシファー自身の対処法を観察した。
ルシファーは冥闇属性、無属性、神光属性等の魔法が使用できる。勿論、以前使用していた転移も含め、とても汎用的で強力な魔法がいくつも使えるようだ。
フィルギャはルシファーの思考を読み取り、対処法の対処法まで考え、攻撃を加えていった。
遠距離から魔法攻撃をするフィルギャ。
転移で近づくルシファーだったが、同じく転移で逃げるフィルギャ。
痺れを切らしたルシファーは同じ魔法で相殺する戦法を選び、対応してみせた。
そしてルシファーはついに神級スキルを使用する。そう、以前使用した神槍だ。
名を『希望断つ緋色の兇神槍』。
別名『サタナエル』。
緋色の神龍の素材を使った神槍。
それを陰と陽の気を使い作り出すスキル。
神級スキル『魔神王の槍成』。
一撃に邪気を込め、全力でフィルギャへと攻撃する。
槍を一突きすると槍に込められた神龍の怨念がフィルギャを喰らわんとする。
神の霊体であるフィルギャは、怨念や呪い、妖怪の類、邪気への特効性、耐性を有している。
フィルギャには怨念の攻撃は効果はないようだ。かといって物理的に霊体を倒す事はできない。
槍はフィルギャを貫くが、総じて効果が見られない事に少し驚いたルシファー。
その隙を見て、フィルギャは神級スキルを発動する。
「神級スキル『
フィルギャの背後に大きな鐘楼が現れる。
鐘楼はゴーンゴーンと鳴り始める。
一つ鳴る毎に、ルシファーの能力が削がれていく。体感では百分の一ずつ減少している。
時間をかければかけるほど不利になっていく。しかし、何故先にこのスキルを出さなかったのか。
出せなかったのだ。
強力過ぎるスキルには発動条件がある。
下級神のみだが。
スキル発動条件は、[相手の神級スキルを完璧に受け切ること]。
受けきった末に、まるで呪詛返しの様に相手に呪をかけるのだ。
鐘楼は四秒間に一度鳴り、徐々に弱体化していく。
ルシファーはこのままでは不味いと思ったのか神級スキル『大罪の聖転』で、色欲の大罪を『
邪悪なる鐘楼と神聖なる橙炎。
その力比べが始まったが、ルシファーの神聖力には一歩及ばなかった。
フィルギャの背後にある邪悪なる鐘楼は、ルシファーのスキルによって燃やし尽くされた。
そのままフィルギャは
『
フィルギャとしては、充分楽しんだので自ら神木を壊して負けを認めた。
満足そうな顔でフィルギャは笑うと、フッと見えなくなった。
会場はシーンと静まり、誰かが声を出すとその声はだんだんと大きくなり、武闘場すら揺れる歓声となった。
そして、次戦は遂に、問題児を纏める男。
エーデルムートくんが参戦する。
ヴァルトメアをして、ミスターオールマイティと呼ぶ男の実力が明かされる。
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