第73話 Battle of Gods(5)
色々と大変だった四試合目が終わり、次は女の子同士の闘い。
ヴァルトメアは武闘場に生えている木々を操り、武闘場を補修する。
「てことで2人とも準備はいーい?早速だけど始めようか。」
「ん。絶対的フルボッコ。」
「こちらも準備万端でありますデス。ヘルちゃんに胸を借りるでありますデス。」
「では楽しんでちょうだい!!五試合目、始めっ!!」
両者同時に動き出す。
マーニは流石の脚力であり、ヴァルトメアが作った武闘場はその踏み込みに耐えられずミシミシと音を鳴らして破壊される。
「いくでありますデス。神滅武術『月花千滅』。」
神のみが使える神を殺す為の武術『神滅武術』。
武の極地、真髄であり、相手を破壊する為だけに特化した武術。
空気を蹴る。
激しい音と共に猛烈な速度で向かってくるマーニ。幻覚と勘違いしてしまいそうだが、その飛び蹴りは同時に千本の脚が見え、空気摩擦によって発火している。
その炎は神気により白く輝き、脚は束となり、円を描いている。まるで月の様に。
「ん。当たれば絶対的に死ぬ。」
ヘルは手を合わせ、指を交差する。
「ん。神級スキル『獄縛糸』。ゆけ。」
合わせた手をマーニの方へと向けると、紅き蜘蛛の糸がマーニへと絡みつく。
「うわっ!ぐぐくくっ。離れないでありますデス。ひっつくぅ!」
ひっついて離れない強力な蜘蛛の糸。
「ん。この糸は五秒以内に抜け出さないと絶対的に死ぬ。」
高まる糸の圧力。絞め殺さんとす。
「ぐぐぐぐっ!あぁあああああ!!」
苦痛に喘ぐマーニ。
小さな体から神気を爆発させる。
「神級スキル『金剛神体』。いくよぉおおお!!!」
絡みついた糸を全て力ずくで引きちぎる。
金色のオーラを放つマーニはそのままヘルの元へと駆ける。
先ほどよりも更に速く、力強い。
「ん。神級スキル『暗戯縛錠』。」
『暗戯縛錠』
•その糸に捕まった者は神気すら吸い取られ、干からびる。束ねた糸はあらゆる擬似神武器形状に変化する事が出来る。
糸をスキルで武器へと変化させる。
「ん。神級スキル『
ヘルの周りに展開される武器。
其々に神気が込められた白金の十種の擬似神武器が並列している。
「ん。いけ!」
本物の神武器には能力的には劣るものの効果は高く、十種を併せたならば、かなり苦戦する事は目に見えた。
迫り来る攻撃を見切り、紙一重で躱す。
十種の武器には特性があり、その一つ一つが厄介極まりない。
当たれば死。
最大限に緊張、集中し避け続けるマーニ。
武闘場は擬似神武器によってズタボロにされている。
悲しそうなヴァルトメアくん。
「んー!厄介でありますデス!!仕方ないでありますデス!!」
右手掌で自身の両目を隠す。
その目が露わになると、瞳の色が黄色から真っ赤に変化している。
「神級スキル『
黒き兎は白き兎へと変身した。
彼の名前は『ソール』、太陽の力を身に宿した熱き兎である。
「久しぶりに出てきたぜ。マーニの中から見ていたが、中々面白い奴だなお前。燃えるぜ。」
「ん。白くなった。絶望的に相性最悪かも。直感。」
「だな。一瞬で終わるぜ。神級スキル『落陽金剛体』。」
ソールの体から炎と雷が吹き出す。
赤と金のコントラスト、そのオーラが触れるもの全てを消滅させる。
「ん。強い。ウチの糸じゃダメ、かも?」
諦めず全力で擬似神武器を操り、攻撃を繰り返すがソールのオーラが武器を弾き飛ばし、武器を操る糸は消滅していく。
バラバラに崩れていく武器。
「まだまだ行くぜ。神滅武術『魂貫手殺』。」
魂をも貫く手。
神魂とて同格であれば例外ではない。
「ん。不覚。でも諦めない。」
貫手にありったけの神気を込めた糸を絡ませる。グルグルと絡まり、貫手は止まった。
「ん。絶対的に止めた。次はウチの番。」
「くぅっ!!根性だぜっ!!せいっ!!」
止まった手を無理やり回転させ、糸の拘束から脱却し、そのままヘルの胸を貫いた。
本来であれば体に空いたその風穴から魂が抜き取られ、消滅する運命にあるが、勿論それも神木が代償となる。
「良い闘いだったね。マーニ、ソールの2人の勝ちだねぇ。」
勝者はマーニとソールに決まり、会場は大いに沸いたという。
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どうも作者です。
本来の神話ではソールは女の子、マーニは男の子ですね。
あえて逆にしたのは、月といったら女子じゃね?ってだけです。
いつもご覧いただきありがとうございます♪
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