第71話 Battle of Gods(3)
二試合目もまたエルフ、ダークエルフには信じられない闘いを繰り広げた。
三試合目はサマエルVSルシファー。
両者は元々不吉の象徴である蛇と悪魔。
失楽園ではルシファーは蛇に化けたとされ、何か共通している者同士の対決となった。
「ふっ。サマエルが相手とあらば死合うには充分だな。我の力を篤と見るが良い。」
「シュルルル。ほざけ。」
「いや、死合ったらダメなんだけどねぇ。まぁいっか。じゃ、そろそろ始めるよ。では始めっ!!」
両者、睨み合い、殺意を込める。
その殺意は魔力を帯び、だんだんと濃密な魔力の塊となっていく。
先に仕掛けるのはルシファー。
魔力と魂を使う独特な魔法を得意とする。
いつか使用したスキル『大罪の権能』は進化し、神スキル『大罪の経典』となった。
そしてもう一段階進化をした。
『大罪の経典』は『大罪の聖転』へと進化をした。これを特殊進化という。
『大罪の聖転』
・大罪の経典が特殊条件下で進化したスキル。
大罪スキルも使用することができ、更に悪魔に堕ちる前の権能も使用できる。
「行くぞサマエル。我が力は神になりて復天した。大罪の力も以前よりも異なる力となり強力になった。貴様で実験させてもらうぞ。」
「シュルルル。来るが良い。」
ルシファーの背中には翼が生えている。
神となったことで右翼は白く神秘性を帯び、左翼は禍々しい黒き力を秘めている。
ルシファーは左手を前に突き出し手のひらには魔力を溜めている。
「神級スキル、大罪の経典『
その瞬間、サマエルは精神世界に入り込む。
嫉妬の感情が烈火の如く、荒ぶり燃える。
それは主人への独占欲や自尊心から来る執着に起因する。
弱き心を食い散らかす魔龍。
通常ならばこれで廃人と化すはずだった。
「シュルルル。この蛇神に蛇の悪魔の相手をさせるとはな。笑止。」
「ふん。舐めていたようだな。だがこれはどうだ。神級スキル、大罪の聖転『
ルシファーの左手からバチバチと蒼き雷が音を立てて光り輝く。
神聖な波動を感じる雷には天に遣わされた聖なる力を感じる。
「シュルルル。悪い予感がするな。我も力を見せよう。神級スキル、獄毒『餓鬼道輪廻』。」
嫉妬と強欲の世界である餓鬼道の力。
つまりは負のエネルギーを無際限に毒として使用することが出来るスキル。負のエネルギーはそれだけで他の力を消滅させることができる。
そんな力が込められた猛毒を超えた毒を使う。
お互いの神力がぶつかり合う。
正と負のエネルギーが侵食し合い、消滅した。
「我らは同志だったなサマエル。憎き神により堕天した悪魔。そう呼ばれていた。奈落に封じられ、力を蓄えた。環境は最悪だったがな。樹海へと続く路を進み、運良く主人様の御力で我らも神となったが、まだまだ奴らには届かないだろう。」
「シュルルル。懐かしいな。最も美しく輝かしい天使だったお前を思い出した。今は更に美しくなった。我らの力では最高神にはまだまだ遠い。互いにやるべき事の為、今現在の力をぶつけ合おうぞ。」
全力の神気を解放する。
結界は割れはしないが、大きく震えている。
その現象が二柱の強さを物語っている。
「ルシくんもサマくんも俺くんと同じで神界の奴らが気に食わないんだねぇ。うんうん。切磋琢磨して頑張ってねぇ。」
客席にいるエルフは息を呑む。
緊張感と威圧感にその場は支配され、気を抜くとすぐに意識を失うだろう。
「これが今の全力だ。」
「シュルルル。美しいな。」
ルシファーは陰と陽の力を合一させる。
神とその敵対者である悪魔の力を混ぜる。
サマエルは神をも殺す毒を作り出す。
憎き神を苦痛の挙句、惨めな死を与えんとする凄絶な毒を。
力が衝突し、光に包まれる。
「ぐふっ。」
血を吐き出すルシファー。
「シュル。我が毒を以ってして倒せんとは。流石は我が友。」
巨大な蛇の体が槍に貫かれている。
地面にまで突き刺さった神槍は消えていく。
パキッと身代わりの神木が割れると一瞬で二柱の体を癒す。
「サマエル。我が神槍の味はどうだ。強かろう。これで奴らに復讐が果たせる。共に行こう。我が主人と一緒にな。」
勝者、ルシファー。
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結局みんな本気出しちゃうのね。
俺くんちょっと悲しみ深いよ。
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