第61話 悪逆非道の樹国建国宣言2

 竜の国【アナンタ】。

樹国から更に東の国。国土はそこまで広くないが、特殊な発展を遂げている。

 竜と人間の特徴を持つ亜人、竜人と呼ばれる者が住んでおり、その王は竜王【ヴァースキ】と呼ばれている。


 人型であり、青と緑の鱗を持ち、人の顔だが額には角が生えている。

だがなんと言っても最大の特徴は長く太い尻尾であり、ビッシリと鱗がついている。


 そして竜人はその強さ故に、他国からの侵略に断固として抗い、東の国をほぼ手中に治めている大帝国からの長期的な侵略行為からもほぼ無傷で対応しているのが竜の国【アナンタ】である。


 樹海の魔王であった邪竜ヴリトラとは仲が悪かった青き龍と呼ばれる蛇龍またの名は青龍を崇めている。竜国には龍聖殿と呼ばれる青き龍の棲家となる場所がある。


 竜国の中心部にあり、蛇龍がこの国の守護をしている事を対外にアピールしているようだ。


 「竜王様、樹国エンデなる国が建国宣言を行い、我が国にも通達が来ております。いかがなさいますか?」


 「樹国エンデ…か。最近では蛇龍様があの邪龍の事を気になさっている。」


 「蛇龍様が…。」


 「何を気にされているのでしょうか。」


 「かの邪龍の反応が無いらしい。今まではそんな事は一度たりとも無かった。我が国の守護龍たる【アナンタ】様は樹国に対して、非常に警戒しておられる。」


 「最強の龍であるアナンタ様が…。」


 「宰相よ。我が国は樹国に対しては侵略こそしないが、偵察隊を組み、秘密裏に情報を得よ。失敗は許されぬ。」


 「ですが、樹国の建国宣言には不可侵であることが明記されておりますが?」


 「そんなものバレなければどうとでもなる。我が国の最優先は蛇神様だ。守護して下さる方を失えば我らは終わりだ。それに警戒されておるのだ。樹国なる国は善良な国ではなかろう。」


 「かしこまりました。直ぐにその様に手配します。」


 「我が国は守護龍の存在により最強である。それにアナンタ様以外にも最強の龍種の方々が眠っておられる。眠りから覚めればいよいよ世界を制する時が来るだろう。その前の勢いづけにはちょうど良かろう。」


 竜の血が騒ぐ。

竜王の激しく暴れ回る戦いへの衝動はこの時から徐々に大きくなっていくのであった。


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