第57話 ユフィと金色の果実
ユフィの家でくつろぐ俺くん。
「ユフィちゃん、俺くんの使徒やってみない? 加護とか与えられるよ? それにとっておきの美味しい物もあるよ」
「使徒……ですか? 美味しい物? 是非やります!!」
「即断即決か……良いね!!」
「でも使徒って何をすれば良いんですか?」
「ん? 何も? 特にないよ。気に入った人に加護を与えて強くするだけだから。神様って気まぐれなのよね」
「そうなんですね! 強くもなれて、憎き大帝国に恨みを晴らせるならヴァルトメア様の使徒になります!! それと愛しいヴァルトメア様の使徒だから……」
「なら加護を与えるね。あとこれ」
ヴァルトメアがユフィに手渡したのは、
金色の果実。
邪神の神気で実らせた果実。
これを一口食べればあら不思議、少しずつだけど体に神気が宿ります。
神気の制御はかなり難しいけど、食べた時の経験値は莫大な数値が手に入るので人族は必ず食べたい一品。
ユフィは果実に齧り付くと、頭の中でレベルアップのアナウンスが鳴り響いた。それもかなりの回数。
ダークエルフはかなりレベルが上がりづらい。その代わりに、上がった時のステータスの伸びがエルフも含めた全種族で龍人に次いで良い。
金色の果実を食べ切ると、急速なレベルアップの高揚感と快楽でユフィの体が熱っている。
「あんっ♡ 愛しのヴァルトメア様♡ ちゅーーーーー♡」
「ユフィちゃん……」
むちゅーーーー。っと迫り来るユフィの唇に金色の果実を押し付けるヴァルトメア。
「さぁもう一個行ってみよーか」
お腹が一杯になるまでワンコ蕎麦ならぬ、ワンコ金色の果実を食べさせられるユフィであった。
お腹が一杯で、ベッドに倒れているユフィ。
そのポンポコリンなお腹とは裏腹に、体からは強大な魔力と少しだけだが神気を感じる。
「だいぶレベルが上がったね。じゃあ次行ってみよー!!」
「え!? まさかまた果実ですか??」
「いやいや違うよ。ユフィちゃんは、全然闘えないでしょ? だから良い先生を紹介してあげるね」
パンパン!!と手を叩く。
「お呼びでしょうか」
現れたのは【
「ムートくん来てくれてありがとうね。紹介するね。今日から俺くんの使徒になったユフィちゃん」
「ユーフィアです。ヴァルトメア様からはユフィと呼んでいただいてます。よろしくお願いします」
可愛らしく頭を下げるユフィ。
「ヴァルトメア様の使徒に!! なんと誉れ高い!! 羨ましいよ」
「えへへへ」
嬉しそうな顔をするユフィを見てムートくんもヴァルトメアもニコッと笑う。そして……。
「俺はエーデルムート。ムートと呼んでくれ。それと、幸せはここまでだよユフィ。今日から君を強くする為に…本当に…本当に……本当に心苦しいが……地獄の戦闘訓練を開始する」
優し気だったムートくんの目が急に鋭くなる。
ユフィの腕を掴み、樹海の広場へと目にも止まらぬ速さで連れて行った。
「さらばユフィちゃん。生きて帰ってきたら良い子良い子してあげるからね。頑張ってねぇ」
と遠くから手を振るヴァルトメア。
ユフィの目からは嬉しさと恐怖で涙が止まらなかった。しばらくの間、広場からは女の子達の絶叫が鳴り響いたという。
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