第51話 悪魔くん出動
場面は戻り、マーニが人参に齧り付きエルフィアへ向かった後、謁見の間。
「あっ。エルフちゃん達、かなりの数が攫われたみたいだからルシくん助けにいってあげてよ」
自分で行くの怠いんだよな。
一瞬だよ? 俺くんが行けばさ……。わかるよわかるうんうんわかる。けどめんどいよね。あっ。いや違うな。おバカちゃん達の経験の為……ってことにしておこう。
「かしこまりました。ですが私ごときでは囚われたエルフの場所が分かりかねます」
「あぁそれなら念話で頭に座標イメージを送るから。転移でちゃちゃっと行ってきてよ。この間たんまり魂集めたでしょ? エネルギー満タンでしょ?」
悪魔の力の源は生物の魂である。
特に複雑な感情を持てる人間。
負の感情を沢山抱えているほどに上質な魂となる。戦争、蹂躙、理不尽。その全てが負の感情で穢れた魂を量産、回収できた原因となった。
「御意」
悪魔王の頭に念話で座標を送るとすぐさまルシファーは転移した。
ルシくん、この間のミスを自ら挽回しないとね。チャンスは何度でも与えてあげるよ。
ただ動きたくないだけのヴァルトメア。
✳︎
場面また変わり、大帝国シュテリケのとある貴族の領土。爵位は侯爵。
「アルーゼン侯爵閣下。陛下への献上品にエルフを攫って参った。地下室に閉じ込め、入りきらなかった者は別館と閣下の領地内の建物へと幽閉してあるでのぉ。見張りもしっかりつけ、奴隷の楔は契約済みですじゃ」
「流石だな、よくやった。して、数はどれほどだ?」
「まずは女エルフを千人ほどですかのぉ。今は剣聖ヴァンがエルフを蹂躙している所かの。もちろん、傷物にならない様に充分に配慮してのぉ」
「そうか。流石は剣聖殿と特級魔法師であるアブイ殿であるな。これで陛下もお喜びになられるだろう。上手くいけば公爵への陞爵もしくは、皇族との結婚もあり得るだろう。そうなった暁にはそなたの地位も安泰だアブイ殿」
満足気に永久に来ない未来を語る貴族の男。
「ありがたき幸せ。その為にもワシはエルフの様子を見てくるでの」
「あぁ。では任せたぞ」
「失礼するのぉ」
✳︎
侯爵家、別館の一つ。
そこにはエルフが無理矢理押し込まれていた。
数は二百人程で、窮屈そうである。
「くそ。腐り切った人間め。女王様が必ず奴らに報いを受けさせるはずだ」
「この恨み忘れはしない!!」
口々に人間への恨みを吐き出す女性エルフ。
女王が助けに来てくれると信じて待っている。
別館の扉が開く。
別館の外には光属性の結界が張ってあり、視覚では感知出来ない仕様になっている。
「おやおや……何度見ても美しいのぉ。その怒りで満ちた顔も本当に美しい。一人くらいつまみ食いしてもバレる事は無かろう。きひひひひ」
アブイ•カイナス。齢75。
妻はおらず、生涯を魔法に費やした。
そろそろ子供も欲しいところである。
「ワシの女になる選ばれし者はどこじゃろうなぁ。妻になった者には我が叡智を以て快楽の海へと突き落としてやろうかの。いひひ。」
と自慢気に語る魔法使い。
75歳の二重の意味で特級……魔法師はエロい妄想に入り込む。ニヤニヤとする歯抜けの老人に女性エルフはドン引きしている。
「なんか臭うのぉ。そこか!!」
アブイは何者かの存在を感知した様だ。
「人間臭い。臭くて敵わんな。魂も穢れている。だが穢れている程に上質ではあるからな。貴様の魂の味はどうだろうか。」
侯爵の領地に悪魔の王が舞い降りた。
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作者です。
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