第41話 ダークエルフの娘

 ゴロゴロとしているとウッドゴーレムが何かを運んできた。足をバタつかせているがウッドゴーレムがガッチリホールドしている。


 「ゴーレムくん何それ……」


 表情は無いが困った様な反応をしている気がする。気のせいかもしれないが。


 「女……ん?ダークエルフ?」


 ゴーレムは身振り手振りで伝えてくる。

分かったよ。俺くんの能力で言語化してあげるね。樹海の木々でも出来るから可能だよ。


 「マスター。魔物討伐のサイに不審な女を見かけたので捕マエましタ」


 「ゴーレムくん、大義であった」


 「お褒めくださリありがとウございまス」


 頭を下げて感謝の意を伝えてくる。

可愛い奴だなゴーレムちゃん。あのおバカちゃん達とは雲泥の差。


 「んで、ダークエルフちゃんは何してたの?」


 ゴーレムは地面へとダークエルフを降ろす。

するとツルがダークエルフを拘束する。


 「は、はなして!!」


 「離すのは簡単だけど、まずは君ちゃんが何してたか教えてくれるかな」


 ニコニコとしているが、興味はない。

異常者特有の外面的良さが全面に押し出されている。


 「む、村を追い出されたのよ。遥か北のエルフの村を。ダークエルフだから」


 「へぇ。何でダークエルフだとダメなの? エルフはエルフでしょ」


 泣きそうな顔で俺くんを見つめる。


 「ダークエルフもエルフも仲が良かったわ。つい最近までね。種族の先祖は同じだしね。確かに異なる所もあるけど、それでも同じエルフだから…」


 目からは涙が溢れる。


 「大帝国の騎士団が村に来たの。あいつらが奴隷としてエルフ族を差し出せと言って来なければこんな事にならなかったのに」


 「それが何故追放と繋がるのかな?」


 「エルフ族の村長がエルフ族を庇い、身代わりにしたのがダークエルフよ。村に居たダークエルフは大帝国の奴らに連れていかれたわ…」


 「へぇ」


 「それで命からがら逃げて来た時に、森に逃げ込んだの……。それがこの樹海って訳」


 「……それで君はどうしたいの?」


 娘は手を握りしめ、口を一文字に結ぶ。その目には怒りが見える。


 「大帝国に少しでも良いから報復を。その為にはこの身を捧げる。魂までも!!」


 「おぉ!! 良いねその気合い。嫌いじゃないよ」


 「だからお願いします。ここに住まわせてください!! 何だってやります! 夜伽だって……」


 「んー、まだ必要ないかな。けど秘書としてなら良いかな。君は可愛いし賛成」


 「は、はい! これからよろしくお願いします!!」


 ニコニコとするまさとくんに気を許したのかハツラツとした態度で返事をする。


 「それで君の名前はなんだい?」


 「わたしの名前は『ユーフィア』です。年齢は16歳です!!」


 「若いねー若エルフだねぇ。じゃ今日からよろしくね」


 「はい! ……あ、あのダークエルフの仲間がまだ樹海に隠れているのですが、連れてきても宜しいですか?」


 顎に手をやり、考えるフリをするまさとくん。


 「ん〜、良いよ〜。ここまで来たならその努力を認めなくちゃね。適当に皇都の家に住んでいいから。お風呂トイレ別だし家には美味しい果実が永久に実るから便利だよ」


 「え、永久に…!! ありがとうございます!!」


 うんうんと満足そうにするまさとくん。

意外にも仲間には優しいのだ。


 植物を支配するということは食べ物を支配し、生活を支配し、人を支配し、その他大勢の生物を支配し、世界を支配するということ。


 万能神故の力を早速見せつけるまさとくん。


 「じゃ行こっか。ユフィちゃん」


 名前を呼ばれてドキドキするユーフィア。

頬を赤らめ、心臓がバクバクするのが聞こえそう。


 「ユフィ……あだ名をつけてくれた…。ハイっ♡」


 まさとくんの後ろを着いていくユーフィア。


 家に着くとまさとくんが家の機能を説明する。


 「まず造りだけど、二階建てだね。一階はリビングにトイレ、風呂、ダイニングキッチン、物置などなど。風呂は水を濾過し清らかにする植物で作られている。地下水を根で吸い上げる仕組みだねぇ。まぁ水回りはこんな感じで作られてるよ」


 「キッチンも同じですか?」


 「同じだね。生活排水も全て植物が濾過するよ。君らの尿も植物の栄養になるから是非してあげてね」


 「に、尿………。あ、あの火は扱って良いのですか?」


 「良いよ。この樹の特徴は生活に特化してるから火にも強いし劣化もしづらい。千年は持つから安心してね。というか魔力を与えればほぼ無限なんだけどね。火は火炎草をコンロに入れてあるからスイッチ一つで着火するよ。コンロは鉄白樺で作ってあるから炎上の心配はないよ。あとは適当に使ってみて」


 説明がめんどくさくなったのか雑に説明を終わらせた。


 「何から何までありがとうございます!」


 「じゃ仲間を連れてくると良いよ。ゴーレムちゃんを護衛に連れて行きなよ」


 「ありがとうございます!!」


 はいはーい。と手を振りながら去っていくまさとくんの後ろ姿をダークエルフっ娘はずっと見つめていた。その目はトロンっとしている。


 しばらくすると、ダークエルフの仲間を連れてまさとくんの元へと紹介と承認の為に向かった。


 「じゃあ君たちはこれからこの国の民ね。護ってあげるから安心して。じゃあこちらの仲間を紹介するよ。おバカちゃん達おいでよ」


 まさとくんの一言で、どこからか何者かが現れた。


 侯爵餓狼マルコキアス

 熾天使蛇王サマエル

 深林闇高位妖精フォレストダークハイエルフ

 悪魔王ルシファー

 星魔夜蜘蛛ザ•ヘル

 究極体水星霊アルティメットスライム

 冥界騎士王アポリュオン

 

 「今いるのはこれだけか。亀ちゃんは?」


 「主様。外に待機させております」


 遥か先に山が見えると思ったら巨大な亀でした。彼の名前は巨要塞大地亀タルタロス


 彼らの魔力に耐えきれず、ユーフィア達は泡を噴いて気絶した。






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