第42話 エルフ族の国家事情

 エルフ族の国『エルフィア』

樹海から遥か北西にその国はあり、国土は小さい。木々が生える領域のみに生息し、その国土は目視も魔力感知も出来ないように精霊魔法で上手く隠れている。


 しかし、エルフ族全員がこの狭い国土に収まる訳もなく、世界各地に転々としており、中には奴隷にされる者も少なくない。


 ハイエルフである女王は大変悲しみ、あらゆる手を打つも、限界はあった。


 同族であるエルフ、先祖が同じのダークエルフ、どちらを優先して助けるかは元老院である太古から生きている老エルフが決定した。


 勿論、同族のエルフを優先した。


 「女王様、遥か東に超広大で肥沃な樹海が……。元々広大でしたが、国一つ飲み込み更にその勢力は増しました」


 「そうですか。かの樹海が…。けれど我々が住むには危険ですね。広大な樹海はとても魅力的ですが……」


 うーん…と困り顔の女王。

すると宰相のエルフであるリリデルが案を出す。


 「しばらくは様子見しましょう。樹海の本質と力を見極める期間が必要です。樹海の主が話せる存在だと良いのですが……」


 「ですね……とりあえず様子を見て、元老院がよからぬことをしない様、監視をお願いします」


 「はっ。かしこまりました」


 (早めに手を打たなければ大帝国が…。)


           ✳︎


 元老院。


 「女王は何をビビっておるのか。たかが樹海の魔物なんぞに」


 「臆病者が女王とはな。我々が若き頃は弓を持って魔物如きは狩りの対象であった」


 「だな。樹海や森など我々の味方ではないか。その魔物の王など我々エルフの従属であろうが」


 「我々の私兵を使い攻略してみせようぞ。さすればあの臆病者の意見も是となるだろう」


 「明日作戦を立てようぞ」


 「宰相のリリデルの使いが我々を監視している様だな」


 「ふん。我々の熟達した精霊魔法で何とでもなるだろう」


 「であるな。では明日またこの場で」


 その瞬間、精霊魔法を使い姿がかき消えた。

音すら聞こえない完璧な存在隠匿。


 勿論そのレベルの精霊魔法を使い、宰相の使いのことや女王のやり取りなど把握している。


 国を分つ、大きな悲劇がこの国に襲いかかる事を彼らはまだ知らない。

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