第38話 聖女の思惑と末路
ルナティーク様を異次元空間から解放しました。今頃は樹海ごと魔王を滅ぼしていると思われますわね。
樹海の次は、北、東、南の制覇に向かい、それぞれの地域の主である魔物の討伐に行かれるでしょう。
いくら魔物の王でも神には勝てません。
滅ぼした暁にはこの世の覇者となるあの方と一生を添い遂げるのです。
その為にはこんな国など踏み台にして当然。
神の妻となるべく生まれた私の為に滅ぶなら感謝されること間違いないでしょう。
ふふふふ。とニヤけていると聖皇国の空が真っ暗になってきた。
よく見ると樹木の様です。
太い幹が伸び枝が何百本も生え伸びている。
その幹の数は千を優に超えます。
そんな規模の樹木など聞いたことがありません。もはやこの国も樹海に飲み込まれているのかもしれません。
ガタガタと歯が鳴り、腰が砕ける。
目がガンギマリ、悲鳴すら出てこない。
股間からは何かがジワっと出てくる。
あり得ない光景に逆に冷静になっていく。
手を出すべきでは無かった。
何故、あの方に誑かされてしまったのだろう。
神の妻になるという人には分不相応な願いを叶えようとした報いなのか。
そんな事を思っている内に聖皇国のお膝元である都は至る所から樹木が生え、建物には根が生え飲み込まれ、国民は何故か目や鼻などの穴から花が咲いている。
地獄なのか極楽なのか。
幻想的と言えばそうなのかもしれない光景。
恐怖を超えるあまりの絶景。
人の力ではどうにも出来ない力の数々に気分は高揚する。
私もあの力が欲しい。
全てを破壊し、創造し、思い通りに出来る圧倒的な力が。
だからルナティーク様に望んだのに。
この光景を作り出した方にお会いしたい。
頬を赤らめ期待している聖女。
現実は甘く無かった。
神とは無慈悲であり、慈悲深くもある。
聖女の体から腫瘍ができ始める。それが全身に広まっていく。美しさだけが取り柄なのに、醜く醜く変わってしまう。
「な、なんで、いや、私の美しい体が。顔が」
顔を手で触るとボコボコになっているのが分かった。腕や足などの見える部分も腫瘍ができている。
やがて、聖女の体の腫瘍が弾ける。
キノコの胞子のような粉が空中に舞い散る。
全身の腫瘍も同様に弾け、全身が血まみれになり、おそらく内臓にも沢山の腫瘍が出来たのだろう。生命維持も難しい。
脳に出来た腫瘍により障害が出始めた。
そして、散々苦しんだ挙句、その生命活動も終わりを告げ、一つの大きなキノコが出来上がる。
聖皇国の都のみならず、国に属した地方の村ですら樹木に飲み込まれ、新しい樹海が誕生した。
✳︎
邪神をエネルギー資源へと変えた日。
よーし良い事考えたー。
また狂気的な笑顔の巨悪が………。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます