第37話 ルナティークの末路
邪神にとって、この世界は神々への反逆の狼煙を上げる為だけの踏み台のつもりだった。
邪な心があるという理由だけで天界で仲間外れにされ、下界へと追放されたのだ。
挙句、力を殆ど失っていたとは言え、人族という下等種族の勇者にその命と引き換えに異次元へと封印された。
『限定預言』スキルでは、こんな規格外な存在の出現は詠めなかった。何かヤバい奴が出現するというフワフワした預言だった。
聖女には、魔王という事にしたが、魔王なんてレベルの存在では無かった。
クソスキルめ!!!!
恐らくというか、絶対に完全体であっても奴には勝てない。
そう思う程の力の差を感じた。
だがこんな始末あんまりではないか。
神だぞ一応。
今どんな状態か。
それは、樹木と一体化し、太い幹には我の顔だけが浮き出ている。グングンと魔力が吸われ神気ですら吸収されている。
我の神気はこの世界に存在している生物の殺意や悪意を力の源とし、利用している。
今も尚、神気は蓄えられているが、同時に吸われている。なんなん?
あーいやいや、口調が変わってしまうではないか。
ぐっ。
奴の適当さが植物を通して移ってしまう。
それで、なんだったのかあの権能は。
種が蒔かれ、急速に成長し、我のどんな魔法や神級スキルですら通じなかった。
直ぐに拘束され、あらゆる力が無効化された。神の我ですら理解不能な能力。
たかが植物が、この我をこのような許されざる姿にするとは…。
✳︎
はいどうも。俺くんです。
邪神くんを捕らえ利用する為、こんな植物を創りました。
名付けて『
ドラセナという幸福の木をモデルにしたよ。
何故なら、龍くんと仲良くして欲しいからね。ドラセナの別名ドラゴンツリー。竜血樹。
生態は全く違うから名前だけだね。
さて、コイツは厄介だよ。
何せ常に腹ペコな樹木だからね。
特に神気が大の好物。
神気をある程度吸収すると金色の果実を実らせる。それを配下に食べさせるとあら不思議!! 神気を少しずつ得るという理論さ。
魔力については、この木の成長と再生に使われているんだぜ?すごくね?
そして、こいつの厄介なポイントがもう一つ。神気や魔力に絶対的な耐性がある。
あらゆる魔法が効かない。
恐らく、俺くんより強い存在の魔法しか効かないだろうね。
神気も同様にね。
そしてその圧倒的な耐性で防御し、対象へと絡みつき、暴食の名の通り喰らい尽くす。
やがて同化し、永遠の時を越えるエネルギー資源と化す。
我ながらヤバい植物ちゃん創っちゃったね。
俺くんが親じゃなければこんなジャジャ馬可愛くないよ。
でも、樹海や配下の為に必要だし頑張ってくれてるからね。可愛いくて仕方ないぜ。俺くんの役に立ってるから。
暴食神血樹が邪神へと伸び、全身を包み込んで、拘束した。
鳴き喚き、もがこうとするが、無意味に終わる。邪神は途中で絶望し、抵抗を諦めた。
神血樹はこれにて完成し、樹海の名物兼エネルギー資源の出来上がり。
龍くんと共にこの樹海の縁の下の力持ち的な存在へと変わり果ててしまった。
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そろそろ聖皇国潰します。
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