第19話 聖皇国の預言

 ここは聖皇国【ルナレーン】。

人口3000万人という科学文明が発達していないこの世界ではそこそこに大きな国であり、至る所に科学ではなく、魔法という非科学的な手段を用いて、国を成り立たせている。


 特に聖皇国では、光、回復といった白魔法に属する魔法に特化しており、半ば独占的である。


 聖皇国の白魔法師およそ30万人。

 世界の白魔法師およそ2万人。


 魔法とは遺伝的な素質が殆どであり、白魔法師の子孫を優遇し、洗脳しているのが実情。


 その白魔法の独占を盾に、唯一神『ルナ』を崇める宗教国。


 行き過ぎた布教活動によって、世界から嫌われ、ルナレーンによる小国への宗教戦争は今から50年前の出来事であった。


 その非道な行いの数々により、孤児や飢餓を生み、世界にとってのガンとなった。


 そして、聖皇国の象徴である聖女ツキヒメ。禁忌の魔法『異世界召喚』により、聖女の祖先は召喚され、その特質的なスキル『預言』により聖皇国の危機を幾度となく救ってきた。

そして古の時代からその血は受け継がれ、そのスキルもまた、受け継がれたのだ。


 そして今宵、聖女による預言が行われた。

突発的に起こる一種の病の様に、その預言のタイミングは聖女にすら分からない。


 ただ間違いないのは、必ず預言が行われる時は、何かしらの聖皇国が危機的状況に陥る時だった。


 「唯一神ルナ様による神託がございました。近い将来、遥か西の樹海で魔王が誕生します。」

 

 「ま、魔王ですか?」


 「その魔王は光と闇、植物を司り、ありとあらゆる植物を生み出し、禍福を齎すでしょう。そして聖皇国にとって、かの魔王は国を崩壊させる禍いとなるでしょう。至急討伐されたし。」


 「光も司るというなら聖皇国にとっては味方となり得る可能性もあるはずだが、ルナ様が仰るなら間違いないのだろう。至急討伐隊を編成し、遥か西の樹海へと討伐命令を出せ。」


 「はっ!!」


 ここが聖皇国滅亡への分岐点だとは誰も思わなかった。


 唯一神ルナ。

別名、邪神ルナティーク。

飢餓と病を司りし邪神である。


 飢餓と病による怨みや嫉み、苦しみや殺意をエネルギーとする。


 その使徒達が一挙に樹海へと押し寄せる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る