第16話 S級パーティVS S級モンスター
翌日、と言っても交代で寝る為、一人当たり3時間も寝られれば上等。
結界魔道具のエネルギーである魔石もA級魔石で半日程しか持たない。
結界を解いた瞬間にまたモンスター達が襲いかかる。
「キリがねぇな。少しは休めたが、中心部まで行けるかも怪しくなってきた。」
「ですね。アタシらの魔力量も半分ほど回復って所ですかね。正直、厳しいです。」
「そうだな。撤退も視野に入れて動こう。」
「えぇそうね。リーダーは貴方よアレン。貴方が決めてね。」
「あぁ分かってる。」
絶えず響き渡るモンスターの奇声に、全員が警戒する。
少しずつだが中心部に近づいている。
そう自分の心に言い聞かせ、勇気を振り絞る。
そんなギリギリの状態で踏ん張っている彼らに不幸が舞い降りる。
ヘルグリズリー。
S級モンスターで、身体強化が得意な物理特化型の戦闘スタイルである。
全身に魔力を纏う事で、対魔法防御も並外れている。
そんな強者がヘトヘトなS級冒険者パーティの前に現れた。
自分達より3倍近いほどの巨体。
魔力量も倍以上あるかもしれない。
こちらの優位性は長年培ってきた連携のみ。
何とか逃げられるかを模索し、破棄する。
誰かを犠牲にすれば逃げられる。
そんな考えを持っている者はこのパーティには居なかった。
みんなで一緒に逃げられるもしくは、倒す方法を考えた。
各自役割を考え、行動し、生き残る為にやるしかない。
魔力量は心許ない。
やるなら短期決戦、時間をかけては相手の土俵となる。
✳︎
何かやばい事になってる。
目を離した隙に、えらいことになってる。
やっべぇ熊と冒険者が戦ってんだけど。
どゆこと?どんだけ運悪いん?
結界に閉じこもってろよ全回復するまでさ。
まぁ自由時間に結構レベル上げられたよ?
でも、俺が来るまで待っててよ。
いやまぁ、アイツらは俺の事知らないから無理も言えないけどさ。
仕方ないから少しずつ熊ちゃんの魔力でもチューチューして援護してやるか。
✳︎
「マリ!!あのモンスターの鑑定を頼む!!」
「分かった!!」
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【
レベル:130(130/250)
戦闘力:80,000
HP:35,000/35,000 MP13,000/15,000
ATK:20,000
DEF:20,000
INT:14,000
RES:13,000
SPD:13,000
【ユニークスキル】
『鋼化』
【種族スキル】
『剛堅毛』『凶暴化』『超嗅覚』『超抗体』『剛顎』『剛爪』『剛牙』
【魔法】
『無属性魔法』[第五位階]
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「え?」
硬直し、青ざめるマリ。
「どうした!マリ!鑑定の結果は!?」
「た、た、戦っちゃだめ!!勝てるわけない!!」
「はぁ!?」
「強すぎる!!逃げるしか無い!!」
その言葉に動揺したのか少し隙が出来たアレンとヴェイグはヘルグリズリーの攻撃をモロに浴びてしまう。
胸は爪の形に抉られ、血が止まらない。
おそらく細菌にも感染しただろう。
急いで回復魔法で怪我を回復させようとするも、そんな隙を見逃す訳がない。
彼らに追い打ちをかけるべく、ヘルグリズリーが動く。
「ふはははは。まさとくん参上!!ってこっちの人間とモンスターに伝わる訳ないよねー。」
黒き災厄が舞い降りた。
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