第3話 ステータス
「———それではまず、皆様のステータスを確認させて下さい。『ステータス開示』とおっしゃって下されば、自分以外にも見える様になります』
王女が、これまたテンプレのようなことを宣う。
その言葉に次々とステータスを開示しようとするクラスメイト達に、朝日奈が待ったを掛けて口を開いた。
「まずはその、ステータスを自分だけ見られる方法を教えて欲しいです。流石に私達の個人情報をおいそれと他人に見せることは出来ません」
「…………心の中で『ステータス』と願うだけで、自分には見えますよ」
どうやら朝日奈の言葉は向こう側に不利だったらしく、少し間を置いてから答えた。
そんな光景を見ていると、一樹が俺の下にやって来て小声で話す。
「……透〜お前はこの状態さ〜どう思う?」
「まあ、俺にとっては面白いが……お前らにとってはヤバいだろうな」
一樹の奴は口調の割に顔は強張っているので、しっかりとビビっているらしい。
そして一樹の腕にはしっかりと浅倉が引っ付いており……おい、何で源太までコッチに来る?
「なぁ透。もしかして……この状況ってヤバいのか?」
「それを聞く時点でお前は終わってる」
「ええっ!? 何で!?」
源太は相変わらずの馬鹿さだと分かって少し安心する。
どうやら人格が変わるような魔法などは使われていないようだ。
基本俺の使役する悪魔達は、本来人間に使役されるような存在ではないので、俺以外の人間に興味がない。
だから俺が訊かなければ教えてくれないのである。
「まぁ一先ずステータスを見たらどうだ?」
一向にステータスを見ようとしない3人に言うと、3人が直ぐに虚空を見始める。
ふむ、どうやらあの王女の言っていたことは本当だったか。
俺も同じように心の中で『ステータス』と念じてみる。
すると……。
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魔影透 人間? 17歳 男
レベル【1】
職業【悪魔使い】
体力【100?】 魔力【表示上限突破】
攻撃【100?】 防御【100?】
敏捷【100?】 知力【97(固定)】
魅力【80(固定)】
能力【使役:11(超越)】【気配感知:5】
【魔力感知:10】【翻訳】
使役悪魔【地獄の三大支配者】
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何か色々なところに『?』があるのが非常に意味不明ではあるが……それ以外は基準が分からないので何とも言いようがない。
ただ、多分このステータスをそのまま見せれば俺は間違いなく追放されるだろうな。
…………それはそれで良くないか?
流石に指名手配とかは面倒だが、純粋に追放だけなら願ったり叶ったりである。
いや、やっぱり追放ではダメだ。
悪魔使いがバレるのだけは避けたい。
追放されるされないどちらにしろ、絶対面倒なことになるのが目に見えているからな。
「透〜〜ステータスどうだった〜〜?」
「……お前には絶対見せねぇぞ」
「ええ〜〜!? なら、俺の見せるから見させてくれよ〜!」
「お、俺も見せるぜ!!」
そう言って俺が同意していないにも関わらず、一樹と源太が『ステータス開示』と唱えて俺に見えるようにステータスを見せて来た。
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三井一樹 人間 17歳 男
レベル【1】
職業【暗聖】
体力【250】 魔力【250】
攻撃【250】 防御【250】
敏捷【400】 知力【81(固定)】
魅力【89(固定)】
能力【暗殺術:1】【状態異常:1】
【隠密:1】【魔力感知:1】【翻訳】
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————————————
中原源太 人間 17歳 男
レベル【1】
職業【拳聖】
体力【300】 魔力【200】
攻撃【300】 防御【300】
敏捷【300】 知力【45(固定)】
魅力【93(固定)】
能力【格闘術:1】【闘気:1】
【超感覚:1】【翻訳】
—————————————
もしかすると俺のステータスは、魔力を除けば物凄い弱いかもしれない。
まぁ俺が弱かろうが俺の悪魔達が自動で護ってくれるので問題ないが。
それに一樹が『暗聖』———スキル的に暗殺者だろうが———なのは些か無理な気しかしないのだが……。
「じゃあ透のも見せろよ〜〜」
「嫌だ」
「な、何でだ!? 俺達は見せたぞ!?」
「そもそも最初から見せるなんて一言も言ってない」
「た、確かに……!」
「そこで納得したらいけないんだよね〜〜源太?」
そんなくだらない会話の最中、王女が透き通った声で号令を掛けた。
「———それでは、私にだけで宜しいですのでステータスをお見せ下さい」
そんな王女の掛け声と共に、主に男子達が続々と王女の下へ走って行く。
「うわぁ……アリシア様ってやっぱり男子に人気だな〜〜」
「アリシア?」
誰だそれは? と首を捻っている俺に、一樹がやれやれと言わんばかりにため息を吐いた。
「はぁ〜〜これだから透は。ちゃんと話を聞いとけよな〜」
「分かったから早く言え」
「仕方ないから俺が教えてあげよう! アリシア様はあの王女様のことだ!」
「何だ、それだけか。くだらねぇな」
「それが教わった奴の態度かよ〜?」
だって本当にくだらない話だったからな。
俺は意識を一樹から周りに移す。
騎士達が俺達の周りを囲んでいるのは、俺達が逃げられない様にするためか。
先程から度々敵意が漏れてるし……何かきな臭いな。
まぁ、全部俺には関係ないが。
「仕事だ———アスタロト」
『承知した、主人よ』
再び世界の全てが止まる。
どうやらこの世界でも悪魔達の力は正常に発動するらしい。
「さて……お城の探検と行くか」
俺は軽く騎士達を飛び越えて部屋を出た。
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