第58話 新聞紙?
おーはよーございまーす! と、朝のニュース番組で天の声をやってる人っぽくテンションを上げてはみたものの……やっぱり今のオレには合ってねェなァと思う今日この頃。
いつもと違う場所での目覚めは最高の一言に尽きる。空気が違ェんだよ、空気が。
ゆったりとした風が通り抜ける爽やかな朝、って感じか? 夏とは思えないくらい涼しいぜ。海渡に居たときじゃ、6月終わりから冷房が必要になってたからなァ。
まァ、マサムネさんと寝たあのベッドの方が良く寝られたんだけども。実質的な王族のベッドには勝てんよ。
『にゃー』
「んあ、おはよう」
コイツもさっきまで気持ちよさそうに寝てた。野生を忘れたのか? まァいい。
「くァ……着替えたら、朝ごはん行くぞー」
『みゃー』
◆
「……おはようございます、ヒビキ」
「ん? おォ、おはようマキ」
マキが朝食の乗ったプレートを持って、正面の席に座った。
「朝弱いのか? めっちゃ眠そうだけど」
「お恥ずかしながら……。いただきます……」
意外だなァ。朝は強いタイプかと思ってたぜ。
欠伸をしながら目を擦るマキ。めっっっちゃカワイイな。普段クールな娘が見せるフワッとした瞬間のギャップっていうの? どうしよう、オレこのコ好きになっちゃう。ポニテ美少女はタイプです。
でも今のオレ女だから……いや、女の子同士でも恋愛は成立するとは言うがなァ……。
ま、どの道地球に帰る予定なんですけどねェ!
◆
そしてまた図書館である。
『海の国』のスウェル大図書館程ではないが、そこそこ大きい。
さてさて、石板の情報が載った新聞はありますかァー、とね。
他の本には目もくれず、新聞閲覧のコーナーに向かう。
もちろんだが、猫は旅館に置いてきた。図書館に入れるのはさすがにダメということらしい。マキから聞いた。
そのマキは現在依頼を受け、外までヘビを狩りに行っている。サソリといいヘビといい、この国は毒を持ってるヤツを利用するの大好きか?
そういや、『リンカルス』とかいう毒を吹くヘビがいんだっけ? オレの銃の名前になってるから、1回は見ときたいなァ。よく使うのは『スターローズ』の方だが。
っと、ここら辺か。
専用の棚にビッシリと詰まった新聞の束がいくつもある。
……絶対何日もは掛かるじゃん。それも1つ2つ見つけるとかならまだしも、石板の出現位置を予測できるくらいには情報集めなきゃいけねェわけじゃん?
全く……参っちまうぜ。
棚から一番新しいものを手に取り、近くの席へ座る。
さて…………やりますかァ!
◆
この時代の新聞って、かなり薄い。
現代日本の新聞が分厚いっていうのはあるかもしれねェが、それでも10ページくらいなのは薄いと思う。
日本のだって、四コマ漫画とかデカイ広告とかテレビ欄とかのを全部無くしたら……いや、それでも10ページを下回るとは思えないわ。
ま、それはともかくだ。
石板がそこそこの頻度で確認されてる事が分かったから大収穫、最高だ。気分がいい。今ならガチャで天井するまで最低保証が続いたとしても許せる。そんなレベル。
これなら予測なんて出来なくても、その日の新聞に載った瞬間に石板のあるとこまで移動すりゃァいいわけだからなァ。
脳筋的ゴリ押し解決法だが、それが出来るなら1番いいだろォよ。
それはそれとして法則を見つけられたらなァ、とも思うが。
予測出来りゃァ、2ヶ月間の余裕が出来るわけだから楽になる。頑張ってみますかねェ。
そろそろ昼か。置いてある振り子時計でしか時間が分からないから、早く腕時計を買うべきか? でも高ェんだよなァ。
積み重なった新聞を棚に戻す。
久しぶりにファストフード的なのが食べてェ。半年に1、2回は食べたくなるんだよなァ。寿司は『収納』してあるが、ファストフードはすんの忘れてた。
行くか。
◆
ファストフード的な店が無かったので、カレーを食べた。
なんであるんだ? でもスパイスが効いてて美味しかった。まだちょっとヒリヒリするけど。
『にゃっ』
「うおっ……肩に乗るのね」
街中でいきなりは驚くぞ。てか髪がボサボサに……。
なんだか、ポケモ…やめとこ。どちらかと言えばファンタジーアニメ映画の方だし。
「てか、なんで旅館からここまで?」
『にゃーん』
「あァー、聞いといて悪ィ。猫語は分からねェんだ」
『にゃッ』
軽くぺちっとネコパンチを左の頬にくらう。
ごめんて。
てか、午後も図書館で情報集めの予定なんだよなァ。連れて入れないぜ?
『にゃっ』
「っと」
肩から猫が降りた。
『みゃー、みゃー』
「?」
オレの前に移動したと思ったら、こっちを見て鳴いている。
不思議に思って近づくと、また前へ行ってこっちを見る。
「……あ、ついて来いってこと?」
『にゃーん』
「はいはい、了解でェす」
予定変更。図書館はまた明日以降にして、今日はコイツが連れて行ってくれる場所で過ごすとしますかねェ。
つゥかここまでくんと、猫又ってのも案外当たってんじゃねェの? 普通の猫に比べて頭が良すぎるし、行動パターンが全然違ェ。
楽しみだ。
小走りで猫を追いかける。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます