第34話 30口径?
やって来ましたはレイイチさん御用達のガンショップ!
と、テンション上げてはみたものの。初めてこういう店に来たからやっぱ緊張する。手震えてるもん。
例えるなら、小学生が一人でファミレスに入った時のような。中学生が初めてカフェでコーヒーを頼む時のような。……ちょっと弱いか?
オレの実体験なら……一人で服の買い物をした時かな。めっちゃ緊張したのを覚えてるわ。あと、後ろから店員に話しかけられてくっそビビった。
……さて。
「れ、レイイチさァん……」
震える足でレイイチさんの後ろをついてくついてく……。
「いや、そんな目でこっち見られても……これ俺が変な目で見られるやつでは? もうちょっと頑張ってくれ…!」
「そう言われましても……!」
周りに目をやれば、あるのは飾られている高そうな銃の数々。
店内の薄暗い雰囲気も相まって、オレの緊張はピークだ。いつでも魔力強化出来るぞ、かかってこい!(錯乱)
レイイチさんが足を止めた。
「店長がオススメしてたのはここら辺だな」
「お、おォー」
なんかこう、すごく昔のライフルです……。
いや、仕方ねェじゃん! 銃なんてゲームに出てくる武器としての認識しかしてねェんだからよォ!
てか、アレだ。ゲームに出てくるAK-47だか74だかの、いわゆるマガジンでリロードするようなヤツってまだ無いのか。
……そういやこの前の機関銃もマガジンじゃなかったな。なんかジャラジャラしてた気がする。アレなんて言うんだったかなァ……。
「これと……これがオススメらしい」
飾られている棚から2つのライフルを取り、オレに見せてきた。
なんか、やたらと細長い銃だなァ。遠距離用だし、こんなもんなのか?
「こっちの長いリボルバーみたいなライフルは『スターローズ』。F&F社の代表的なリボルビングライフルだな」
「へぇー」
バラ要素無くね? てかリボルビングライフルって何ですか……?
「でもって、もう片方は『リンカルス』。見ての通りレバーアクション式のライフルだ」
「リンカルスって何ですか?」
「コブラだ。たーしか……動物の国の湿地帯とかにいる、毒を吹いて攻撃してくる蛇だったと思う」
「え、怖。……でもなんで銃の名前になってるんですか? まさか、毒の弾丸を撃てるとかですか?」
「いや全然?」
─ズコッ
ぜ、全然なのか……。
「だって普通のライフルだし」
「普通のライフルにコブラの名前付けますかねェ……?」
「そうは言っても、由来とか本社に直接行ってみねーとわからないと思うぞ。…あ、そうそう。製造会社は『クロキア・インダストリーズ』つって、かなりデカい企業だ。ちなみに、俺のショットガンもそこのな」
「そうなんですねェ」
デカイ企業か……。なら、こっちの方が値段高ェのか? なんかそういうイメージある。
「この2つってどれくらいの値段なんですか? やっぱり高いですよねェ?」
「『スターローズ』は35万2000、『リンカルス』は49万8000エル。俺の個人的なオススメはリンカルス……いや、スターローズの方がいいか……? でも戦闘スタイルを─」
「なんでレイイチさんが悩んでんですか」
うーむ。今までの依頼解決の報酬金は結構あるから、どっちも買うという選択肢を取れないわけじゃねェ……。
でもそうすんとなァ……手元に残るの20万ちょいになっちまう。
旅をする分には充分かもしれねェが、だからといって無駄遣いはしたくねェ。
別にその分稼げばいいじゃん、って言われたら『そうだね……』としか返せないんだが。
「まァ、とりあえずどっちも買いますよ」
「─リンカルスの方が…え? あ、どっちも買うの?」
「買います。あっても困らなさそうなんで」
腰のポーチから出したように見せながら、『収納』から札束を取り出す。
「……マジか。そんなに沢山依頼やってたの?」
「いえーす。中でもデカいクモの駆除依頼は結構額が高かったですよ」
「…それって、ランク8とかのやつ?」
「いや、7でしたよ。ただ、鉄道路線の建設予定地から近い場所なので金払いが良かったって感じですねェ」
「俺も魔法バンバン使えたらなぁ……」
アレ一体で19万だったからなァ。かなり稼がせてもらった。
「そういえば、弾も買っとかねェとですよね?」
「ああ、どっちも30口径だから100発で……4万2000だな」
30口径って何……? ショットガンの12ゲージ? だかしか知らねェ。
てか5万いかないのは意外と安い……のか? 銃自体もそうだが、相場が分かんねェ。
……とはいえゴリゴリの銃社会ってわけじゃねェにしろ、普通の店で買える分には安い……と、思う。
◆
銃の購入後にも色々な事を教わった。
撃ち方、リロードの方法、簡単なメンテナンスなどなど。実に有意義な時間だった。これからもよろしく、『スターローズ』・『リンカルス』。あとスピードローダー。
「そのポーチどうなってんの? 明らかに収納量おかしくない?」
「え゛……企業秘密ってやつでお願いしますッ♪」
くらえ美少女のウィンク!
それで適当に誤魔化す。誤魔化せるかどうかは別として。
「いや、うん、まぁ……いいか。聞かないでおく」
「助かりまァす」
ヨシ!
「ところで、そろそろなんか食べません? お腹空いてきました」
「そうだな、なんか食い行くか」
近くのレストラン的な店に行った。めっちゃ美味かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます