3-2 冷たい洞窟 2
洞窟を進む彼が曲がり角を進むと、その先には何かがいた。薄暗いせいで、それの輪郭を正確にとらえることはできないが、通路を塞ぐように何かがいた。それは明らかに自分のことを認識しているのがわかった。明らかに自分がいることで相手も足を止めているのだろう。彼もすぐには動けなかった。相手がどんな行動をしてくるのかわからない以上は、対処のしようがない。相手に先に攻撃して一撃で、殺されてしまえば、それで終了だ。さすがに陰気な場所では死にたくはない。
相手がゆっくりと彼に近づいていた。その体は体毛で覆われていて、毛が逆立っている。体は寸胴で、頭には何もついていない。目も口も鼻も突いておらず、顔の意味があるのかどうかわからないといった様子で、体は寸胴で、手はその体と同じくらいの面積を持っていた。その手の先には大きな爪が付いていて、それが鋭いことは見ればわかるだろう。そして、両手にその凶器を持つ化け物が彼に近づいていた。彼は森で戦った真の化け物と対峙したせいで、その程度の気色悪さには大勢がついていた。しかし、相手の持つ爪は明らかに、木剣や木の盾で防ぐことができるものではないのは誰にだって理解できただろう。しかし、彼は逃げる気はなかった。逃げたとしても、この洞窟から出ることができるわけではない。それなら、生きる決意と共にこの化け物を倒して先に進むべきだろう。森での出来事のせいで、彼は恐怖に多少耐性ができていた。
相手がさらに彼に近づいたところで、相手は地面を蹴る。しかし、寸胴であるため、、ジャンプ力は大したものではない。相手の腹が洞窟の地面にぶつかり、前には進んでこなかった。相手が動こうとするには、この洞窟は狭すぎる。寸胴であるせいで、ジャンプするだけで簡単に頭を天井に打つだろうし、体が壁にぶつかるだろう。相手は腹を地面につけたまま、腕を動かした。相手の手が地面を割り、洞窟の地面が彫られていく。大きな穴ができたと思えば、相手がその中に降りた。そして、さらにその腕で土というか、岩を割り、大きな穴を掘っていく。彼はそれに巻き込まれないように、何とか移動しているものの、地面の穴が広がる速度の方が速く、簡単に穴の中に引き込まれた。土の斜面を土煙を上げながら、穴の底に降ろされる。相手は待ってましたとばかりに、両手の爪同士をぶつけて鳴らす。そして、先ほどと同じように飛び上がり、彼に襲い掛かる。先ほどとは違い、穴を掘ったせいで、天井にも地面にもつっかえずに、彼に接近する。しかし、彼は飛びかかられることには慣れていて、簡単に回避した。しかし、相手はそのまま地面を掘り、地中へと潜る。彼は相手が見えナックなったことで、さらに警戒する。そのまま、どうすることもできずに、彼は警戒したまま、相手が出てくるのを待っていた。微かに地鳴りのような音が聞こえる。その音が徐々に大きくなり、その振動が足元に来ていることがわかり、彼は思い切り前に跳んだ。何とか前回りで受け身をして、衝撃をいなす。彼のいた場所には、化け物が爪を上に向けていて、回避しなければ、その爪に自身の体が貫かれていたかもしれないと思うと、脳みそから血が抜けているような感覚がある。しかし、今気絶するわけにはいかない。相手は土の中から完全に体を出して、再び彼に攻撃を仕掛けようとしていた。そして、彼は木剣を捨てて、包丁を手の中で作りだした。包丁の刃を長くして、剣のようなものを作り出した。片刃の剣であり、金属製であるため、殺傷能力は木製の物より高いだろう。そして、その金属性の剣を創造したことで、彼の知識が呼び覚まされる。今、彼の中にある原始的な武器の一部が鉄で作成することができるようになった。それはかなりの文明の進歩で、盾も金属で作成で切るということである。しかし、当たり前だが、木製の物よりは重くなり、扱いも難しくなるだろう。それをうまく使えるかどうかはわからない。しかし、斬れない剣よりかは、役には立つだろう。彼は盾を持ちながら、長い包丁を構える。相手が再び飛びかかろうとしていた。相手がジャンプするのと同時に、前に出る。盾を投げつけて、相手の爪を振るわせる。そして、ジャンプしている相手の下をくぐるようにして、包丁の先を相手の腹に沿って振るう。あまり手ごたえはないものの、彼の視界には相手の腹に刃が入ったのが見えていて、致命傷でなくとも、刃が通ることがわかった。それがわかれば、おそらく、次に刃を当てれば、もっと深く刃を入れることができるだろう。
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