マナミ 6

 みんな行ってしまった。

「これからのことはマナミは見ない方がいいと思う。なにかあったら電話するからここで待ってて」

 そう言うと、サユリと男の子二人は私に聞こえないようにこそこそとなにかを相談し、ドアを開けて出て行ってしまった。

 一人になった。

 冷えていくエンジンがチンチンと音を立てている。車内はまだ暖かいけれど、もう少しすればとっても寒くなるだろう。

 助手席の窓から外を見た。コウスケの車がすぐ隣にある。さびだらけでカーステレオさえ鳴らないオンボロ車だ。この車に乗って、二人でこの公園にきたのはいつだったかな。二人でドライブすることはもう二度とないのかな。

 シンジくんとコウスケは、本当にここへきたのかな。

 ねえシンジくん、大事な話ってなんだったの?

 こうなるってことは予想できなかったの?

 実はあの夜、コウスケとけんかになって、自分ひとりで帰っちゃったんじゃないの?

 そして今頃どこかに隠れて、コウスケが困っているのをこっそり見ているんじゃないの?

 そうだよ、みんな勝手にシンジくんが死んじゃったって決めつけてるけど、別な可能性だってあるじゃない。今、シンジくんに電話してみたら「なんの用事だ?」って出てくれるかもしれないじゃない。

 電話、してみようか。

「シンジくん、今どこ?」って聞いたら「ぼくはここにいるよ」って教えてくれるかもしれないし。

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