甘く切ないコイの味

天神 運徳

読み切り

 A子は幼馴染のB助に恋をしている。

昔からおばあちゃん子だったA子は和食が得意だが洋菓子作りは苦手にしていた。

ある年のバレンタイン、A子は長年の恋心が暴走して創作料理に走った。


バレンタイン当日から外れるが週末B助を呼び出し創作料理を振る舞った。

以下はその創作料理を食べたB助の感想である。


バレンタイン当日に毎年くれる和菓子がなかったと思ったら今年は料理を作ってくれたのはかなり嬉しい。

俺はA子が好きだしA子が俺を幼馴染としか見てなかったとしても毎年楽しみにしていてホワイトデーも全力でプレゼントを選んできた。

それがどこかで間違っていたのだろうか?

A子の創作料理は鯉の煮付けだった。

しかしチョコソースで。

チョコの甘さと吐きそうでも顔に出せない切なさ、そんな鯉の味。


「ねえB助、美味しい……かな?」

「とっても甘く切ないコイの味がするよ」


帰宅後、A助は倒れた。

しかし気合いで吐かなかったが、胃薬は飲んだのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

甘く切ないコイの味 天神 運徳 @amezingdragon831

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る