第8話 人狼
人狼。
みなさんはその言葉を聞いてどう思うだろうか。
おそらく、近年人気のコミュニケーションゲームか、狼男を想像するだろう。
この場合は後者が正しい。
コイツは女だけど。巨乳だけど。
長身でスマートで筋肉質で、巨乳。アッシュブロンドと言うらしい鮮やかな灰色の髪を腰の先まで伸ばし、瞳はアンバーで巨乳。年齢は19、20歳くらいで巨乳。
もう、なんかずるい。ファンタジーだ。
そうなんだ。
コイツはファンタジーなのだ。ファンタジーだからそれでいいのだ。
妖怪の類なんだから。幻想が形を持ったのが妖怪なんだから、幻想の通りなのは当たり前だ。
なんでも本人いわく、元は人間で、人狼になる前は割と普通の女の子だったそうだ。
赤毛にブラウンの瞳でそばかすあって、身長も欧州の中じゃ低い方。
あ、巨乳は元々らしい。
聞いても無いのに言って来た。聞いてはないけどガン見していたのは否定しない。
なんにせよ、人狼になった事で、そういういかにも人狼らしい姿になったそうなのだ。太った狼男とかチビの狼男とか聞いた事ないし、そういうものなのだろう。
一応言っておくと、狼男よろしく、変身するまでは人間となんら変わらない。見た目は。
だから、最初は気付かなかった。
目の前に現れたソイツが、人間じゃないなんて。
彼女と出会ったのは、忘れもしない一週間前。
人生を変えた、僅か三日の出来事――
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