第7話 エロ本を読んでやがる

 さほど悪さをしない妖怪どもと暮らすのも、まあ悪くは無いかなと納得はできた。ヤバそうな箇所だけ避ければいい。


 ただそれでも、人生計画は大きく狂った。


 何しろ、上京して大学に行くつもりだったから、それが無くなったことで、どうしてよいかわからなくなったのが痛い。


 流石にニートという選択肢は無いけど、地元に残っても職は無いだろう。

 地方都市は本当に仕事が無いのだ。


 まだ高校一年。考える時間はたくさんあるが――選択肢はあっても答えは無い気がする。


 そんな普通で、少しだけ人から外れたおれは、モラトリアムを謳歌していた。


 幸い、それなりに上手く行っていたと思う。


 高校に入ってはや半年。頃は十月。大きな問題も無く、三つ目の季節を迎えていた。


 臭いものにふたをして。這い寄る不吉な足音から目をそむけて。


 淀みから目をそらして。


 アイツは、そんな淀みを食うヤツだった。


 アイツというのは、今、おれの隣で半裸でエロ本を読んでいる――訂正しよう。


 全裸でエロ本を読んでいる女――訂正しよう。


 全裸でエロ本を読んでやがる女の人狼だ。

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