第3話 ゆでたまご
最初に見える事に気付いたのは小学校低学年だ。
それまで見えてはいた。たぶん初めから見えていたんだ。
障害だと言うなら、先天性のものだったんだろう。いずれにせよ、幼稚園の頃なんかは何かが見えていると言ったところで周りも真に受けていなかったと思われる。
それが小学校低学年ぐらいで、自分は何か違うと気づいた。「うそつきゆーくん」とか「ゆーくんはすぐこわいはなしする」とか言われたからだ。
どおりで妹から避けられていると思った。
両親は共働きで生活時間帯があまりかみ合わない――寝た頃に帰ってくる――から、気にしていない。祖父母はそもそも細かい事はまったく気にしない。戦中組は強い。
そんなわけで、おれの見えているものが人と違うというのを知ったのはかなり昔だ。
そして、見えても言ってはいけないという事を知った。
あと、生まれつき飛蚊症もあって太陽とか見るとアメーバみたいな線が見えるんだが、そのせいでこれも他の人には見えてないと思っていた。
こんな事もあった。高学年の時、片思いしていた女の子が、いわゆる霊感少女だった……が、明らかにウソを言っているのをおれは知っていた。
前世がルーマニアの貴族とか、その因縁により金髪碧眼の守護霊が守ってくれてる、とか言ってたが、実際に彼女を守っていたのは守護霊なんかじゃなく、油すましだった。
坂東英二似の。いや、坂東英二だったのかもしれない。ゆでたまごあげたら喜んでたし。
ゆでたまごのお礼に、風が吹いたと装って妖力で彼女のパンツ見せてくれたし。最低だ。
そう、妖怪は居るのだ。少なくとも、おれの認識する世界では。
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