最終決戦。~アーサー2世VSマーリン~前編

「マーリンっっ!」


 聖剣・エクスカリバーの双剣をマーリンに叩き込もうとするが、幻想がいやというべきか。


 マーリンは剣を全て避けた。まるでかのように。


「落ち着け。アーサー。」


 マーリンが笑いかけてくる。


「私はね、殺し合うためにここにいるわけじゃない。」


「じゃあなんだよ?」


「君は、私が思うリーダーとして、世界を支配し、行動する。それを約束してくれ。」


「つまり、マーリンは私がリーダーをなくす想いを知っているんだな。」


「私の能力、未来予知でね。」


 敵対しない事は良いことだろう。なぜなら、戦争は片方が悪人にされ、暴殺されるだけ。


 僕だって好き好んで戦争を起こしているわけではない。


 受け入れるべきなのだろうが、僕の想いとエクスカリバーを変える帰る事は出来ない。


「その提案、拒否させてもらう。」


「いいのかい。私は未来予知ができるんだぞ。アーサーが勝てることは出来ないさ。」


 昔を懐かしむ、目をしている。だが、僕はアーサー王ではなく、アーサー2世だ。


「いくぞ。」


 一手二手三手。全て躱される。


「ぐぉおぉ!」


「落ち着けよ。パンドラの箱。」


 マーリンが杖を掲げ言う。


 すると、杖の先端部分の石が赤色に光る。


 そして、赤い装飾のされた宝箱が出現した。


 あれがパンドラの箱なのか?


「開け。」


 宝箱がゆっくりと開かれる。あれがパンドラの箱なら、あらゆる厄災が僕を襲うだろう。


 壊さなければ。


 すぅ


「ふん!」


 剣を振るう瞬間。


「ここで解放が途切れる。」


 マーリンが言い放った時、光が消えた。


「な...に?」


「発動時間ぐらい自分で管理しなきゃ。」


 ギギギ


 パンドラの箱が完全に開くと、中身は真っ黒だった。


 パキ


 地面が、空が、空間そのもその裂かれ、雷光が体を襲い、溶岩が体を溶かす。


「ぐがぁぁあぁぁあ...!!」


 今までにない痛みに早く終わってくれ。早くなくなってくれ。


 そう願っても、体は再生するだけ。


 永遠に苦しまなければいけないのか。そうして精神も痛んでいく...


 そんな時、もういなくなった騎士の声を聞いた。


 ————————


「詰みだ。やはり、弱い。」


 こんなものはただの幻覚にすぎない。ただ、とても忠実に再現されているが。


 こんなやつが世界を変えようなど傲慢である。


 キン


 アーサー2世を包んでいた黒い空間が銀と金の光の剣によって裂かれた。


 目が紅く染まり、暗く光る。まるで、モルドレッドを見ているようだ。


「なんだその姿...!」


 まるでモルドレッドのようだ、と言いかけて気づく。


 もう1人そのような姿をした、私がよく知る人物がいるではないか。


 アーサー王っっ!!


 なぜアーサー王と似た姿になっているか分からない。だが、彼は強くなった。それだけが分かる。


 ―――――――


 痛みに苦しみ苦しみ。


 藻掻いて足掻いて、もう諦めようとしてしまいそうになった時。


『王!王よ!』


「...だれ...だ...」


『我です!エクスカリバーです。』


「エクスカリバー!?生きていたの!?」


 急に元気が出てくる。


『我はもう死んでいます。この空間の特性と王が持っているによって我が魂で会話しているだけです。』


「そうなのか...」


 結局何も解決していない。もうダメか、と何時ぞやと同じことを考える。


『...我が王の魂と融合しましょう。それでアーサー王に近い姿になるでしょう。』


「そんな事ができるのか...?」


『我が王の本来の力を発揮させます。完全に王は最強になれるでしょう。』


 ですが...と言いかけて言葉を止める。表情は分からない。ただ声が聞こえているだけなのだ。どう考えているか読みとれない。


「...やってくれっ!!頼む...」


『...本当のお別れです。アーサー2世。我を...




 忘れないでください。』



「...え?」


 体が光に包まれる。姿は特に変わった所はない。だが、痛みがなくなっている。


「エクスカリバー!」


 声をかけても返事はない。


「エクスカリバーっ!!」


 まさか、本当のお別れとは、忘れないでくれと言ったのは、からなのだろうか。


 もう知ることは出来ない。ならば、マーリンを倒してエクスカリバーの想いに応えよう。

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