開戦。

 2人と合流して3日が経過した。


 僕たちは今ロシアとアメリカの海峡である、ベーリング海峡を渡り途中である。


 アメリカに向かう。そう決まって。


 僕の仲間は、円卓の騎士、モルドレッドとガヴェイン。


 マーリンを殺し、反抗するならランスロットとトリスタンも殺す、と決めた。


 最終的に全ての国を伝説の具現化アヴァロンとして建国しシュバリエ帝国と併合する。


 上の存在がいない、自分自身で選択し、みな平等で平和な国。作るためには、犠牲がいる。


 あの時の質問で。


 私は全てを背負うと決めたのだから――


 ―――――


「ランスロット、トリスタン。分かったか?」


「もちろん。」


 ずっと同じことを言う、マーリン殿。


 なぜここにいるか分からない。一つ言えるのは互いが利用し合う関係なだけだ。


「ええ。」


「今世のアーサーはリーダー的存在ではなく、しかもリーダーを消すと話す。アーサーを導いた事がだったが、今回もだとは。」


 はぁと溜息を吐く。


 私は、ランスロットは、マーリン殿とは違う。だが、アーサー王は私が殺したようなものだ。その後悔があるからこそ、アーサー王を復活させたい。


 そのためにはマーリン殿の協力が必要だった。そして、私の思想とアーサー2世の思想もかけ離れている。


 私はリーダーが国を引っ張るべきと考えるが、アーサー2世は違う。


 だから―――


 私はアーサー2世を殺す。


 ――――――


 私、トリスタンはランスロットの今までの恩を返すために、協力する。たとえその道が悪だとしても、私は、ランスロットと共に歩む。


 返しきれない恩を返すため、親友のため、


 私は―――


 アーサー2世を殺す。


 ――――――


 さらに1日。


 僕たちはアメリカの到着した。


 目指すは、ワシントン。


 大統領の暗殺及びマーリンの殺害。


「ここから別行動だ。相手は私たちに気付いていない。3人が間隔を開きつつ、横一列で戦う。対象を逃がさないよう、そのような戦いをする。どうだろうか。」


 僕が2人にそのような指示を出す。


「異論はない。」


「俺も。」


「行くか。これが最終決戦だ。」


 ――――――


 軍人なんて、相手はしてられない。とにかく時間が惜しい。



 はぁ。黙って消えろ。









「解放。聖剣・エクスカリバー」









 金色に輝くエクスカリバーと銀色に輝く聖剣。


 この光の双剣は力の無き人をただ殺戮し、命を奪う。



 走って、殺して。走って殺して。また...



 行動が作業となるのに時間は要らなかった。


 すると。


「死にそうな顔をしていますね。あなた。」


 フードを被った男性。杖を持ち、魔術師のような恰好はある1人の人物が思い浮かぶ。


「あんた...マーリンってやつか?」


「そうですが。雨でも降らせましょうか?感動の邂逅に。」


「私には要らねえよ。ただ、黙って死ね。」


 ―――――――


「...こんにちは。モルドレッド。」


 この声は聞き覚えがある。確か...


「トリスタン。フェイルノートという弓矢を使う円卓の騎士。覚えていますか。」


「覚えているさ。弓兵。」


 あとさ、言いかけて俺は言葉を止める。


 これを言ってしまったら、戦闘が始まってしまう。だが、言わなければいけない。


「そこ、どいてくれよ。」


「私がどくとでも?」


 トリスタンが距離をとり弓矢を構える。


 フェイルノートという弓は、相手に必ず当てるという能力がある。


「解放。モルドレッド。」


 最初から全力で。


 ―――――――


「ガヴェイン卿!」


 忘れる事のない声。一騎打ちで負けたライバル。


「ランスロット卿...!」


 1つだけ、ずっと疑問に思っていた事を聞く。


「なぜ!アーサー2世と敵対するのですか!」


 あの時のアーサー王とランスロットが敵対した原因はすれ違いと、ランスロットの暴挙。


 それを後悔しているなら、仲間になってくれると思っていたのに。


「アーサー2世との理想が合わないのと、アーサー王の復活。」


 金槌に頭を打たれたような、感覚を覚えた。


「なんだと...!!馬鹿な!」


「事実だ。マーリン殿に任せろ。」


「信じられるか!」


「嘘だというのならそれで構わない。だが、後悔はするなよ。」


 ランスロットはアロンダイトという剣を構える。彼の愛用の剣だ。


 もう、アーサー2世に仕えると誓ったのだ。アーサー王は復活させたいのはそうだが、今の主を裏切るわけにはいかない。


 今は午前10時を過ぎたあたりだろう。


 午前中だけの3倍の力を発揮できる。


 私はガラディーンという剣を構えた。


「一騎打ち以来だな。前回は私の勝ちだったか。」


 ふっと笑う。


「もう負けません。」


 太陽を味方にした騎士は再戦を挑む。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る