聖剣。(3/3一部修正版)

「うん。確かに僕はアーサーの名前が入っている。でも、それが何かあるんですか?」


 アーサーという名前はここでは珍しいがヨーロッパには沢山いるだろうに。だが、なぜ分かったのだろうか。親には名前を言うなと言われていたから、友達には"友人"と呼べと言っている。



『青年、君は生きている人の中で唯一、私の子孫なんだよ。』



 え?じゃあ僕は、アーサーの子孫なの?


 様々な疑問や憶測が頭の中で飛び交う。しかし。


『まあ色々あったんだ。でも、今は説明している時間がない。』


 少し焦りの声が聞こえた。そして、さっきの優しい声とは裏腹に少し厳しめな声で言う。








『君は、世界を変えたいか?』










 その言葉は、僕が今までで一番聞きたかった言葉かもしれない。自分達は奴隷じゃない。上の存在に指示されて生きていくなんて、イヤだ。


 そう思考したのはほんの数秒。そして即答した。


「はい。変えたいです。」


 安堵したのか、ほっとしたのか優しい声に戻っていた。


『良かった。私はヨーロッパの王にはなったが君なら世界の王になれるかもしれないな。』


 おかしい部分がある。それは無理だろう、"世界の王"という部分だ。僕は少し強めな口調で話す。


「それは過大評価過ぎます。自分は非力な人間なんですよ?」


 まるで、それを言われるのを待っていた、かのようにふっという笑い声が聞こえた。


『君がいる城の一階に湖がある。聖剣を返上した所だ。私が頼んでその聖剣を返して貰ったよ。その剣を使いたまえ。それは王へと導く剣だ。きっと役に立つ。』


「本当に僕が使ってもいいんですか?!」



『だがな。死ねないんだよ。死ぬ事逃げる事は許されない。その呪いを背負う勇気はあるか?』



 少し心配そうに。でも確信している。そんな感じで言われた。


 もう、それには答えている。


「変えたい」と答えたのだ。全てを背負う覚悟はある。


「勿論です。」


『うむ。そうか。それでは取りに行こう!』


 僕は聖剣を取りに、アーサー王の指示に従い走り出した。






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