笑止千万。(3/3一部修正版)
「おまえ...!」
モルドレッドが消えた。
いや。こちらに来ている。
我は剣を構え、攻撃を受ける体勢をとる。
ふぅ。
久しぶりのこの感覚。何百年ぶりだろうか。
「ふんっ!」
殺気を感じた方向に剣を振るう。
姿を認識した時には負けている。それぐらい速い。だから我は殺気を感じたら剣を振るう。
ガキィィン
2つの剣が交差され、重い効果音が鳴り、火花が散る。
モルドレッドは剣で攻撃を防ぎ、後退した。
「やるねぇおばさん...!!」
モルドレッドは不敵な笑みを浮かべる。
「歳が少し離れるからっておばさん呼びをするんじゃない!」
我はおばさんではない。断じてない。
「うるさいなぁ。ところでなんでエクスカリバーがここに?おばさんも出てきたの?」
モルドレッドは疑問そうに首を傾げて聞いた。
おまえもか、モルドレッド。我は複雑な心境を抱く。
「さては、シュバリエ帝国を潰してくれという願いが石像の封印を解いたのだな?」
モルドレッドが目を輝かせ、コクコクと頷く。
「そうそう。まぁ、エクスカリバーがいるって知ってたし?暇だもの。だからここに来ました!」
円卓の騎士の石像がヨーロッパにある。多分、その力を知っていた存在がいたのだろう。
だが、あの防具と剣。まさか...
「ん?あぁ。これ?おばさんと戦うんだもの。これぐらいは必要だよ。」
そう言って、防具の着心地と、剣の感触を確かめている。
あの防具は、かの王、アーサー王の防具。そして、あの剣はクラレント。昔、アーサー王が持っていて、モルドレッドに盗られた剣。
王が、大切に扱っていた剣だったのだ。とても鮮明に覚えている。
「だけど、エクスカリバーがアーサー王以外に仕えるとは意外だよ。どうしてだい?」
こちらの疑問には答えず、そっちらの質問には答えろと?
笑止千万。
だが、思う事があるなら、何故か、仕えるべき存在と感じたからだろうか。
絶対に言わないがな。
そうして、無言で剣を構え、振るう体勢を再びとる。
「なるほど。それが答えか。」
モルドレッドも、構える。
そして。再び爆風が雪山を、襲う。
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