モルドレッド。(3/12一部修正版)

 我は今、雪山の頂上を目指して走っている。

 

 もうそろそろ着くだろう。


「多分、あやつと同じ服装の人が仲間だろう。」


 走りながら呟く。


 あやつとは、貴公。我が限定的に忠誠を誓った人物。


「あれをするのはあの時以来か。」


 誓いのポーズ。あれはアーサー王に忠誠を誓った時以来だった。


 頂上に着くと、仲間であろう人達の白色の防具を着た人達。そして、国連軍であろうか。黒色の防護服を着ている人物達が戦っている。


 ツゥゥ


 剣を引き抜き、国連軍とシュバリエ帝国軍の戦闘の境界線に立つ。


 剣を地面に突き刺し、堂々とした佇まいで叫ぶ。

 共通語であろう英語で。


「我は、エクスカリバー。シュバリエ帝国の騎士なり!国連軍よ、退け!さもなくば我がエクスカリバーの餌食になるだろう!」


「奴を撃てっ!!」


 国連軍の誰かが叫ぶ。


 ふぅ。息を吐く。




「その行動は拒否したと受け取るぞッ!!国連軍!」




 剣を突き刺す格好を解いて、剣を前に構えて呟く。









「解放。エクスカリバー。」











 豪華な装飾をされた白い剣が金色に輝く。


「相応の敬意を込め、本気でお相手しよう。」


 ダダダダダダッッッッッ!!!


 金色に輝いた瞬間。銃声が鳴り響く。


「無駄だっ!!」


 爆風が舞い、一瞬で国連軍の中心部まで入り込む。


 周りが疑惑と驚きと叫びが入り混じる。


「我が剣の前に散れ。」


 剣を振るう。


 すると、剣から金色の光が放たれ、触れた人全員が消滅していた。


「奴を止めろ!」


「ロケットランチャー!!」


 色々な所からそんな言葉が聞こえる。


 我には物理的に攻撃は効かない。幽霊のようなものだからだ。幽霊、つまりでないと効かないのだ。


 すると。


 後方にある姿が見えた。


「あのお方は...?まさか...!」


 剣を振い、周りを消し飛ばしつつ、目を見開いて、呟いた。




「アーサー王...?」





 あの後ろ姿。金髪、白い防具。そして、あの剣。


 だが。こちらを向くと、見慣れない紅い目。


 あの方は、いや奴は。


「モルドレッド...!!!」


 アーサー王に反逆した円卓の騎士。アーサー王の息子でありながら、父親を殺そうとした人物。


 奴は殺したはずだ。我と同じような存在になったのか?


 だが、ヨーロッパにいるはずだ。いや、いたはずだ。


 なぜ、ここにいる。



「貴様は、モルドレッドか?!」



 聞こえるよう、叫ぶ。


 こちらに気づいたようだ。こちらを見ている。


「おばさん。まだいたんだ、。」


 紅い目の青年は不気味に笑っていた。

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