黄金の騎士。(3/3一部修正版)

「失礼ですが、あなたは円卓の騎士では無いですよね...?」


 エクスカリバーとは、アーサー王が使っていた伝説の剣。


 剣が人になるなど、やはり聞いた事がない。

 そもそも、出てくる事に驚いているのだが、歴史好きの方が驚きより疑問の方が強く出ていた。


「ふむ。我はモデルにされた人物よ。エクスカリバーは確かにとして知られているだろうが、そのモデルはこの我、アーサー王に仕えた最強の騎士だ。」


 ん?アーサー王はいないんではなかったっけ?さらに疑問が出てしまう。


「アーサー王はいたんですか?」


 すると、エクスカリバーはふん、と息を吐き、答える。


「失礼な。我が王はいるぞ。もちろんここにはいないがな。」


 まるで生きているように聞こえる。非現実すぎる。


「我々は守るために生きている騎士だ。そもそも人ではない。願いから作られた人のようなものだ。幽霊が、人の体を一時的に手に入った、と言うべきか。」


 あり得ない。


 だが、エクスカリバーはここにいる。黄金の甲冑に包まれている。声を聞く限り、男のようだ。顔が見えないが、優しそうではある。


「話を戻そう。状況は、知っている。貴様は何をしたいのだ。」


 よく分からない偉い軍人に言われたと今、言われたには圧倒的に違った。今言われたのは相手を尊重している事が分かる。


 すぅと息を吸う。緊張して間違えないようにしなければ。





「僕は、この国を、国民を救いたいんです。」





「シュバリエ帝国をか?」


 エクスカリバーが疑問そうに聞く。


「我はな、声に応えてここに来る時、ある程度その人物を知ってからここに来るんだ。」


 すまんな、と呟く。


「貴様は、上の立場にいる存在が許せないのだろう?」


「うん。」


 上の存在は許せない。声を一切聞かず自分達が勝手に考え行動する事に許せない。



「それはまだ分かる。我も許せん。だがな。国連軍を壊滅させないと、国も国民守れない。それは正義に反することだぞ。」



 分かっている。シュバリエ帝国がロシアに侵攻した事が悪い。それでも。


「それでも、守りたい。」


 にぃ、とエクスカリバーが笑う。


「それでこそ、貴様である!」


 そして、石像にあったような格好をする。


 剣を地面に突き刺す、勇ましいポーズ。





「このエクスカリバー、貴様いや貴公に今だけの限定的な忠誠を誓おう。」






 そして、そのポーズをとくと、


「さて、我は何をすればいい?」


 疑問系の文だが、顔は笑っている。全てが分かっている。そんな顔。











「国連軍を壊滅させてくれ。」










 ふっと笑った。


「任せたまえ。ここでちょいと待っていな。」


 そう言うと爆風と共にエクスカリバーが消えた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る