戦争。(3/3一部修正版)

 そんな防衛のために弾薬作りを始めておよそ3日後だった。


 国連軍がシュバリエ帝国の国境沿いまで来たらしい。


 僕達、高校生にも、軍隊の招集がかかりました。逃げれば死ぬそうです。




「なぜ、何もしていない国民の犠牲を払わなくてはいけないんですか。」




 そんな正しい声は、政治という場所に届く事はない。


 仕方なく、招集された場所に行きました。


 招集場所は母の言っていたあの城の前でした。


 懐かしさで心が一杯になっていると、ある怒号のような大きい声が響きます。


「貴様らはぁ!!国の為に命を掛けるのだ!栄光に思いなさいぃ!!」


 偉い人なんだろか。胸のバッチは輝かしい金色の星が沢山付いていました。


 おかしい。おかしすぎないか。あんたは何をするんだ?指揮をするだけなのか?


 この手の震えが。恐怖が。焦りが。分からないのか。


 その輝かしい功績はあんたじゃなくて、あんたの部隊の奴が強かっただけじゃないのか。


「ふぅ...ふぅ...」


 怒りを必死に抑える。


「これから戦闘に必要な物全てを貸与する!弾薬は大切に使いたまえ!!」


 そう言って、列に並べと指示をする。


 防具、弾薬、双眼鏡。

 

 そして、銃を貸してもらった。


 重い。想像より何倍も重い。


 そして、これから奪う命はこれよりもっと重い。


 僕にはそれを背負う事は出来ない。


 後で逃げよう。そう心に決めた。


 ——————


 国連軍がやって来ました。寒さの対策はバッチリのようで、防寒着をしっかり着込んでいました。

 僕達の部隊は山の上からの奇襲部隊で切り込み部隊とも言える位置でした。


 死ね。そう言われている部隊とも言えますね。笑えない。


 ついでに敬語は使うなと言われました。癖なのに。


「はぁ...はぁ...ハァ...」


 吐けば白い息が、でも動悸は止まらない。


 何もしない日常。好きな事を出来る毎日の素晴らしさを知った。早いかもしれないが、飽きるなんて言葉は絶対に使ってはいけない。


 1番前にいる、隊長と呼ばれる人が手を挙げた。


 撃ち方用意らしい。


 撃つ体制を取る。


 手を下げた。


 撃て。


 僕は引き金を引こうとして、引けなかった。


 ただ撃つフリをした。この爆音と光の中で撃っているフリをしている事は分からないだろう。


 国連軍がこちらに発砲してくる。それだけではない。爆弾やロケットランチャーなどを使ってる。


 圧倒的に差がある。これは無理だろ。


 そう思っていると、他の人達も驚いているらしい。退こうとしている。


「逃げるな!戦え!」


 隊長が声を荒げる。


 その声に正気を取り戻したのか、また爆音が近くで鳴り響く。


 僕はここから逃げ出した。

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