僕が作るシュバリエ帝国

オレンジ

日常

始まり。(3/12一部修正版)


 僕はある国にいる、歴史と地理が好きな学生。まだ世間では高校生です。


 だから知っています。僕がいるこの国、シュバリエ帝国(シベリアの近く)は歴史がおかしいということを。


 最初にそれに気づいたのは昔から母に言われていたこの言葉です。

『ある日、ある素晴らしい城が建てられました。それは、とても、とても高い岩の上にあります。その城が今の誰も住んでいないあの城です。

 昔、そこに、円卓の騎士がいました。今も私達を見守り、助けてくれています。もし、私達の危機が来るならば、きっと助けてくれるでしょう。』


 ————————————と。


 僕は当時、小学生でしたから、気になって入っていけないその城に入ろうとしました。入り口を開けると、ある一人の石像がありました。剣を地面に突き刺し、直立不動。堂々とした佇まいはまるで王。

 しかし、埃が被っており、手入れが入っていなく、人の気配すらしませんでした。


 そもそも、民族間の争いが無い限り、滅多に戦争など起きはしないほど、ここは寒いのです。だから危機など起きることはほぼありません。


 それから歴史と地理が好きになってから、その話は嘘だと分かりました。


 そもそも、円卓の騎士とは、アーサー王物語に出てくる騎士であり、その物語はフィクション。しかも、ヨーロッパが舞台です。あり得ない。そう知ってしまうと、子供心の好奇心が一気に失せました。



 ザクザク


 僕は今、城の外にある草原林を防寒着を着つつ、歩いていました。このギザギザした木は針葉樹林という木でクリスマスツリーとかによく使われています。


「はぁ。」


 外は寒く、口から出た溜息は、白い息となり空に消えます。僕は、溜息が出るほど、この日常に飽き飽きしていました。


「上の立場の人が全部決める。それが正しい政治なんですか。」


 草原林を抜け、道に出ると、高床式の建物が見えてきました。


 そこにある小さな家が僕の家です。貧乏でも、裕福でもなく、普通という生活が正しいでしょう。


「ただいま。」


 僕は誰もいない家に何千回目かの声をかけました。


—————


 そんな日常に飽き飽きしていたある日、シュバリエ帝国がロシアに侵攻するというニュースを聞きました。

 

 理由はよく分かりません。上の立場の人に決められたら、従うのが今の世の中です。


 僕は招集されませんでしたが、23歳以上の男性が部隊に招集され、訓練を受けました。


 その3ヶ月後、ロシアに侵攻しました。


 国際連合はその侵攻に強く反発し、国連軍による報復措置の決議が可決され、シュバリエ帝国に進軍することが決定しました。


 シュバリエ帝国は国際連合に入っていないため、反対や意見を言う事すら出来ず、防衛するために国民全員が、日々働いていました。

 僕は今、弾薬を作る手伝いをしています。こんな事をするのは初めてです。


「なんで僕達は何もしていないのにこんな事をしなくてはいけないのですか。」


 数少ない友人に聞いてみた。


「そりゃ死なないためだろ。ここに侵略してきたら殺されるに決まってるじゃないか。」


 そうかもしれない。


 でも。


「それは違うのではないですか?元々、上の立場の人達が始めた事では無いですか。」


 友人は頭をポリポリ掻きながら難しい顔をする。


「上の命令には従わなければいけないだろ。」


 そう...なのかもしれない。


 僕はこれ以上話しても意味が無いと悟り、僕は無言に徹した。友人もこれ以上は話さなかった。


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