第15話 マミ、黄昏(たそがれ)る

 あたしは今日も、レン姉ちゃんの分もパフォーマンスを頑張ったわ。


 カール兄ちゃんも加わっていたっけ。ロロ姉ちゃん、ちょっとライバル視をしていたようだけど。トレーナーのカノさん、ムーさんは苦笑いしていたわね。ウラさんもだけども。

 あたしはカール兄ちゃん、そんなに嫌いじゃないよ。レン姉ちゃんのパートナーさんだし。


『……ねえ、マミ』


『どうかした?姉ちゃん』


『レン姉ちゃんがいないからさ、ちょっと寂しいのよね』


『……うん、あたしも分かるよ』


『カール兄ちゃんに盗られたみたいに思っちゃって、だからかな』


 そう言って、ロロ姉ちゃんはうつむいた。コポコポと頭の穴から、ため息がこぼれる。


『じゃあ、カノさんの所に行ってくるわ』


『はーい!』


 あたしは見送る。しばらくはそうしていたのだった。


 あたしもムーさんの所に行く。ムーさんはにっこりと笑いながら、あたしの頭を撫でる。


「マミ、ロロと一緒だったのね」


『キュー』


「レンがサブプールだから、寂しい?」


『キュイ』


「そうだよねえ、ロロも寂しそうだったなあ」


 あたしは意外だと思ったわ。ムーさん、よく見てる。なのに、あたしがじっと見つめても気づいてくれないのは何でだろ。うーん、謎だわ。

 あたしは上を向いて、黄昏た。

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