第16話 マミは思う

 レン姉ちゃんがおめでたになってから、半年が過ぎたわね。


 あたし達は相変わらず、姉ちゃんの代わりにパフォーマンスを頑張っているの。ルーさんは凄く心配していたわ。ムーさんやカノさん、ウラさんもね。


「……古野さん、レンは大丈夫ですか?」


「あ、村上さん。うん、順調ではありますよ」


「そっか、赤ちゃんが生まれるまでまだ、後半年ですしね」


 ムラカミさんもとい、ムーさんがルーさんに姉ちゃんの事を訊いているわね。まあ、あたしも気になってはいるし。


「うん、レンがちゃんと子育てをできるか。それが気がかりなんですけどね」


「ですね、ロロやマミも赤ちゃんを受け入れてくれるかは未知数ですしね」


「確かに、不安要素は多いかな」


 あたしは話を聞いて、うーむと考えた。レン姉ちゃん、無事に赤ちゃんが生まれてくれたらいいんだけど。ロロ姉ちゃんもしきりと、サイドプールを気に掛けていたしなあ。


『マミ、何してんの?』


『ロロ姉ちゃん!』


『あんたらしくないわね、考え込むだなんて』


 あたしは唸りながらも、言った。


『……赤ちゃんが気がかりでね、ちゃんと生まれてきてくれるかなって』


『まあ、あんたも気になるわよね。けど、こればっかりはレン姉ちゃん次第よ』


『うん、そうだよね。あたし達ができるのはレン姉ちゃんを助けてあげる事くらいだし』


 あたしが言うと、ロロ姉ちゃんは笑った。コポリと頭の穴から、泡が浮かんでは消える。

 

『マミ、今はレン姉ちゃんに声を掛けてあげようよ。姉ちゃんも不安なはずだから』


『うん、そうする』


 あたしはロロ姉ちゃんと一緒にサイドプールに向かった。レン姉ちゃんに、声を掛けに行ったのだった。

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