第12話 ロロは見た!

 あたし、レン姉ちゃんがカールさんといい雰囲気だったのを見ちゃったのよね。


 ニヨニヨしちゃいそうで一生懸命に、我慢したんだから。マミも似たような感じだったわあ。レン姉ちゃん担当のルーさんやあたし担当のカノさん、マミ担当のムーさん、カールさん担当のウラさん。みーんな、小さくガッツポーズってのをしていたわよ〜。


『……ねえ、ロロ姉ちゃん。レン姉ちゃん、最近はカールさんとよく一緒にいるよね』


『本当にね、最初はレン姉ちゃんもそんな気はなかったみたいだけど』


『ふうん、分かんないものだね。シャチの関係ってやつは』


 マミがしみじみ言った。あたしも頷く。ポコポコと頭の穴から、息の泡が水面に浮かんでいった。


 翌朝、あたしはいつもと同じようにトレーナーのカノさんの元に行った。カノさんはちょっと、嬉しそうだ。


「おはよー、ロロ!」


『キュイー!』


 あたしもカノさんに挨拶する。ちょっと離れた所には、妹のマミがいた。カールさんとレン姉ちゃんはサブプールにいる。


「……ロロ、レンとカールはそっとしておこう。さ、チェックをするよ〜」


『キュー!』


 こうして、メンタルチェックが始まった。あたしは元気よく鳴いたのだった。


 夕方になり、閉園時間になる。レン姉ちゃんとカールさんはまだ、サブプールにいた。あたしはカノさんにバイバイする。そうして、姉ちゃんの元に向かった。


『レン姉ちゃん、カールさん!』


『……あ、ロロ』


『ロロちゃん?』


 二頭はちょっと、気まずげだ。どうしたんだろ?

 あたしは不思議に思いながらも言った。


『姉ちゃんもカールさんもサブプールばかりにいるからさ、不思議だったの。あたし達でパフォーマンスも頑張ったのよ』


『そ、そう。頑張ったわね、ロロもマミも』


『うん、凄ーく頑張ったよ』


 あたしは答えながらも、姉ちゃんの様子が変なのに気がつく。


『……ごめん、あたしってば。邪魔しちゃったね、カールさん。姉ちゃんの事、よろしく頼むよ!』


『……うん、こっちこそ悪いね。ロロちゃん』


 あたしはキューと高らかに鳴きながら、マミの所に行った。二頭で『姉ちゃんのためにも、邪魔はしないでおこう』と話し合ったのだった。

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