第9話 レンのカレシ?!

 あたしがサブプールにて、まったりしていたらね。


 タンカってので、運ばれてくるシャチが見えたの。あたしより、どうやら一回りくらいは大きい子だわ。びっくりして、水面から顔を出した。近くにいたロロやマミも『何?!』と騒がしくしている。

 あたしはプールサイドにいたルーさんの元に行く。ルーさんは苦笑いで言った。


「あ、レン。今日にね、新しい仲間が来たの。名前はカールよ。男の子だけどね」


『……キュ?!』


 あたしはまたも、びっくりして声を出してしまったわ。ルーさんはあたしの口先を軽く撫でた。


「レン、カールは新入りだけど。仲良くしてあげてね」


『キュー』


 あたしは答えながら、あ然となった。まさか、男の子が来るとはね。ちょっと、不安が湧き上がってきた。


 カールがサイドプールに入った。あたしは挨拶のために、彼に近づく。


『……初めまして、ようこそ。水族館へ。あたしはここのシャチでレンって言うの』


『……初めまして、俺はカール。遠いところから来たからさ。まだ、慣れてないけど。よろしく』


『うん、よろしく。後で妹達にも紹介するわね!』


 カールは頷くと、スイーと離れていった。あたしは妹達がちゃんと挨拶できるかなと心配になったわね。


 その後、ロロやマミともカールは挨拶した。ロロはちょっと、はしゃいでいる。


『ねえ、姉ちゃん。カールさん、割とカッコいいわね!』


『そうかしら?』


『んもう、姉ちゃんはタンパクね。この際だから、カールさんをカレシにしちゃえばいいじゃない』


 あたしは目を見開いた。え、カールをカレシに?!

 ちょっと、まだ会ったばかりよ。何を言ってんのよ、ロロは。呆れて鳴き声も出ない。


『あの、どうかした?レンさん』


『何もないわ、ロロがうるさくしてごめんなさいね』


『いや、俺は気にしてないよ』


 カールはそう言って、あたしから離れていく。けど、ちょっぴり物足りなくなって。どうしたのかしらね、あたしは。

 頭の穴からため息がコポコポと出た。

 

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