第8話 ロロとマミ

 あたしはにほんとかいう国の水族館で暮らしているの。


 名前はロロ、今年で十八歳になるわね。兄弟にレン姉ちゃん、妹のマミがいるよ。そんなあたしにもカレシはいなくて。姉ちゃんはルーさんがいるから、満足っぽいけど。あたしはそうじゃないかな。


『……ねえ、ロロ姉ちゃん。レン姉ちゃんがまたルーさんと一緒にいるねえ』


『そうね』


『いいなあ、あたしもあんなトレーナーさんがほしいな』


『トレーナーさんなら、マミにだってカノさんがいるじゃない。あたしにもムーさんがいるようにね』


『カノさんはルーさんみたいにすぐに察してくれないわ。あたしが見つめても、なかなか気づいてくれないし』


 それは仕方ないんじゃないかな。カノさんはまだ、マミ担当になってから五年と経っていないし。あたしの担当のムーさんは四年にはなるけど。


『まあまあ、その内に分かってくれるようになるわよ。あたし達の言葉はルーさん達には分からないみたいだしね』


『そうかも、まあ。待つしかないかな』


『うん、レン姉ちゃんのとこに行ってくるわ』


 あたしはマミに言って、レン姉ちゃんの元に向かったの。スイーとプールを泳いで行った。あ、やっぱりルーさんと一緒にいるわね。


『……レン姉ちゃん』


『あ、ロロじゃないの』


『マミがね、自分にもルーさんみたいなトレーナーがほしいって言ってたんだけど』


『ふーん、あの子がね』


『まあ、その内にとは言ったのよ』


『そうね、あんたの言う通りだわ』


 珍しく、レン姉ちゃんが同意する。あたしはちょっと、驚いた。


『……姉ちゃん、何か変なものでも食べたの?』


『変なもの?んなもん、食べてないわよ』


『いや、珍しいなと思って』


 あたしが言うと、レン姉ちゃんはフンッと頭の穴から水を吐き出した。


『珍しいとは何よ、あたしだって同意する時はあるわ』


『なら、いいんだけど』


 あたしはちょっと、気まずくなってマミのとこに戻った。二頭でしばらくはどうしたもんやらと思ったのだった。

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