第6話 レンは見た!

 あたし、見ちゃったのよね。


 ルーさんがロロに抱きついているのをねえ。おかげで、あたしやマミはヤキモチを焼いたわよ。あの子のどこがとは思ったけど。

 今日は他のトレーナーさんもとい、カノさんがあたしの担当なの。だから、対抗してカノさんのほっぺに軽〜くチュッてしてやったわ。そしたら、ルーさんはびっくりした顔になっていたわね。

 ……ちなみに、ルーさんもカノさんも女の子だけど。ま、いーじゃない。


「ねえ、カノさん」


「何、古野ふるのさん?」


「……何で、レンがあなたにチュッてしてるの?」


「いやあ、私にも分からないのよね。ただ、あなた。ロロに抱きついていたじゃない?」


「あ、それでか!」


「たぶん、ヤキモチを焼いたんじゃないの。後でレンに謝りに行ったら?」


「そうするわ、ありがとう!」


 カノさんの言葉に古野さんこと、ルーさんは納得がいく表情になった。  

 たちまち、ルーさんはあたしの所にまでやってくる。氷入りのバケツを持ってだ。


「……レン、こっちに来て!」


『キュイー?』


 あたしが近くに寄るとルーさんは眉を下げた。


「ごめん、レン。あんたにヤキモチを焼かせて。今後は気を付けるから」


『キュー』


「さ、お詫びに氷を持って来たよ」


 あたしはガパッと口を開けた。ガラガラとルーさんがバケツを傾けてくれる。口の中に、氷が入ってきた。

 んー、やっぱりおやつにはこれよね。冷たくて乾いた喉には染みるわ〜。


『キュ!』


「……レン、ちょっとは機嫌を直してくれたみたいね。じゃあ、ハグしよっか!」


 あたしは氷を飲み込むと水面から、頭から胸ビレまで踊り出た。ルーさんがギュッと抱きしめてくれる。久しぶりのハグにあたしは嬉しくなったのだった。

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